前回のブログ「メンタルを栄養で治すための大前提」はどうでしたか?
精神疾患とか発達障害とかにも栄養が使えるって、ビックリしたかもしれません!
まだ読んでない方はこちらから
今回は「僕がなぜ分子栄養学を学び、それをどう鍼灸治療に活かしていったか」について書いみます。
東洋医学と分子栄養学の関係について本質的なことを書きますので、特に患者さんの治療にあたっている方には読み進めてもらえると嬉しいです。
僕が分子栄養学を学んだ理由
僕は鍼灸の専門家です。
なのになぜ分子栄養学などという栄養療法の最先端を勉強しようと思ったかというと、どうしても自信をもって患者さんに食事の指導ができなかったからです。
東洋医学には薬膳という治療方法があります。 これはいろいろある治療法(漢方薬、鍼灸、推拿、薬膳、かっさなど)のなかのひとつですね。
つまりこれらの治療方法は、東洋医学的な診断方法(弁証)が共通しているわけです。
ということは、キチンと診断ができれば、漢方薬、鍼灸、食事ともに同じ方向性の治療ができるということで、これってとても素晴らしいことです。
漢方薬を使えないという世界的にみても非常に特殊な立場の日本の鍼灸師にとっては、食事の指導は絶対に欠かせないと考えていました。
だから一生懸命に薬膳を勉強しました。
でも結論から言うと、ほとんど使えなかったんです。
理由はいろいろありますが、一つひとつの食材について寒熱とか五味、帰経とかを調べて、患者さんに合った食材を選ぶのはいいんですけど、それを食事全体の方向性とか、量とか、摂り方とかに論理的に結びつけられなかったんです。
だから、ずーっと悩んでいました。
そこでやっと出会ったのが「分子栄養学」なんです。
分子栄養学にハマりました(笑)
「これだ!」と思いました。
まずは手当たり次第に本を買ったり(すでに関連分野について購入した書籍だけで300冊を超えました 笑)、ネットで情報を集めまくって、夢中で勉強しました。
楽しくてしょうがなくて、これを治療で使うことを夢見て、まさに寝る暇を惜しんで勉強しまくりました。
でも学んでいくうちに、鍼灸治療にどうやって使ったらいいの分からなくなりました。
知識を学ぶのは楽しいんですけど、実際の治療と簡単に結びつけられるものじゃないんですよね。
そこで、「これはセミナーを受講して、キチンと学んだ人から直接学ばなきゃダメだ」と思って、こんどはいろいろなセミナーを探し始めたんです。
ネットでいろいろ検索して、体験入学をしたり公式サイトを見たり、ワンデーセミナーを受けたりしてみて、検討を重ねました。
そこでついにたどりついたのが「臨床分子栄養医学研究会」です。
医師で、日本の分子栄養学界でもトップクラスの知識とノウハウをもつ宮澤賢史先生が主催している会なんですけど、これがとにかく難しかった。
だって医師と一緒に同じ内容を勉強するんですから。
宮澤先生は、必要だと思うとアメリカのセミナーにもすぐに参加しに行ってしまうような最先端の理論をかなり勉強している方なんです。
で、難しいことを難しく話すタイプ(笑)
というわけで、鍼灸の治療に来た方に食事や栄養を加味して治療効果を上げられるはずだと必死になっていた僕は、「勉強は楽しいんだけど治療ではどう使ったらいいか分からない」という状態に陥って悩んでしまいました。
宮澤先生の著書「あなたのサプリが効かない理由」も読んでみてください。
これの本は分かりやすいです(笑)
分子栄養学にも流派がいろいろある
ちょっと話は逸れますが、分子栄養学界にも流派めいたものがたくさんあります。
主だったものは医師が主催していますが、メガビタミンとよばれるグループ、高いサプリを売ることが目的のような会、子どもやお母さんをメインに栄養指導する会やネットであやしい情報を垂れ流す人まで、さまざまです。
ここでちょっと宮澤先生から習った「分子栄養学の基本3原則」を書いておきましょう。
それは以下の3点です。
- 適切な量の栄養素を使うこと
- 生化学検査を行って必要な栄養を決めること
- 根本原因にアプローチすること
これらをちゃんと満たしていると治療がうまくいきますが、逆にひとつでも満たされていないとうまくいかないんです。
なんでこんなことを書いているかというと、根本原因をみつけてそこにアプローチするということがとても大事だからです。
これって東洋医学でいう「本治」そのものですね。
もっとも鍼灸の流派でも、ただの「ナチュラル系対症療法」になっているところが少なからずあるように感じているのですが…。
それはさておき、根本原因へのアプローチができていないとどうなるのかというと、ずっと(質が良いという名目で高く売りつけられる)サプリを飲み続けなきゃいけないことになるわけです。
いわゆるコレステロール値を下げたり、血圧を下げたりする薬と一生付き合うのと一緒で、ただの対症療法でしかないですね。
だからこそ、どの栄養素が足りないのかだけでなく、どうしてのそ栄養素が足りなくなったのか? という根本原因をみつけて、それに対して対処するための食事や栄養のアドバイスが大事なんですね。
東洋医学と掛け合わせると効果的
根本原因を見きわめるのにはいろいろな情報が必要です。
もちろん血液データも役に立つんですけど、食事の内容を細かくチェックしたり、体表所見からも有益な情報がたくさん取れることがいろいろと試して使っているうちに分かってきました。
やっぱり、試行錯誤して実践から学ぶしかなかったんですね。
例えば眼瞼痙攣やふくらはぎのつりがあったりすると、マグネシウムが不足している可能性が高いんですけど、それに加えて頑固な首肩こりがあったり、血圧が高かったりといった症状があればより不足している栄養素を特定する精度が上ります。
こういった具合に、栄養素の不足が原因と思われる症状などを体表所見や問診から掘り下げていくと、何が根本的な原因なのかが分かってくるんです。
幸いなことに、鍼灸治療は患者さんとお話しする時間がしっかり取れるし、身体の隅々までチェックすることも、問診を突っ込んで行うことも可能です。
もしマグネシウム不足なら、どうして不足したのかを考えます。
ありがちなのは、胃酸の出が悪いことによるミネラルの吸収の低下の可能性などです。
ミネラルってカラダに必要な量は微量なんですけど、胃酸でイオン化されないと吸収されにくいという特徴があります。
ということが分かれば、胃の状態を鍼灸で良くしながら、胃酸の出が良くなるような食事の仕方の指導と、マグネシウムを多く含む食材のアドバイス、マグネシウムを浪費するような生活習慣の改善(例えばお酒を控えるとかストレスマネージメントなど)をすれば、うまくいけばサプリも使わずに根本原因を解決することができるんです。
こんなふうに、鍼灸と栄養療法の良いところを併せて治療にあたれるので、まさに栄養アドバイスをするには最適の環境なんです。
どうですか、やってみたくなったでしょ!
ブログに書いているだけではちょっと伝え足りないし、少しでも多くの方に分子栄養学の必要性やメリットを正しく知ってもらいたいので、「分子栄養学無料勉強会」を3月に開催することにしました。
無料ですので気軽に参加してほしいんですけど、2時間くらいシッカリと勉強しますので、それなりの覚悟(笑)で申し込んでくださいね!
顔出し必須で、寝てたらチョーク投げたり暴れたりします(ウソです)
日程などの詳細については、2月の上旬にはご案内できると思いますので、もうしばらくお待ちください。
では、今回はこの辺で。