がんは予防できるのか?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

スキルアップセミナーっていうのを毎月やっています。

そこで話すテーマはいろいろで、分子栄養学のベースになる知識、症状・疾患に関する栄養療法のまとめ、各栄養素の使い方、最新の論文紹介、具体的な症例検討などです。

先月は「がんの傾向と対策」についての分子栄養学的な考え方や栄養療法について話しました。

そのために論文などを色々調べていたんですけど、そうしたら日本のがん対策は方向性が少し間違っているのではないかと感じたんですね。

今回はそんなことについて書いてみます

日本のがん対策はちょっと変では?

まず第一の理由は、国が「がんは予防できない」と思っている(らしい)こと。
その証拠に、例えば国立がん研究センターでは「がんは予防できない」とハッキリと公式サイトに書いています。

日本のがん対策は2006年にできた「がん対策基本法」を元にしているんですけど、その中身は「早期発見早期治療」とか、「がんの積極的な治療の推進」とかが中心で、じつは「予防」にはあまり力を入れていない感じなんです。

がんの予防というと真っ先に思い浮かぶのが禁煙ですね。
でも、これだけ喫煙率が低下しても肺がんの患者数と死亡率は増えている(特に喫煙率の低い女性で増えている)んですよ。

肺に限らず、がんの罹患率・死亡率は日本ではいまだに増加傾向にあります。

これって、国の予防策(というか予防より早期発見に力を入れている)の間違いが、日本でいまだにがん増え続けている理由なんじゃないかと思うんですね。

あともう一つの理由は、日本人のヘルスリテラシーの低さです。

ヘルスリテラシーって聞きなれない言葉かもしれませんが、「健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力」のことです。

日本人はこれが世界でも最低レベルで低いと報告されています。

その理由として僕は、日本の過剰ともいえる医療システム(国民皆保険)によって、患者さんがが自分で自分の健康のことをあまり考えなくなっていることが問題だと思っています。

例えば欧米では風邪くらいで病院にかかることはほぼありません。
それは患者自身が症状などを判断し、病院に行くべきかをある程度決めることができるヘルスリテラシーを持っているということ。

対して日本では予防ということもせずに、何かあったら病院に行って薬をもらえばいい(その方が安上がりだ)くらいに考える人が多い感じがしています。

結局、病気というものは人まかせにしておいていいものではない、ですよね。
この問題については、改めてしっかり書いてみたいと思っています。

米国ではがんの死亡率は減少傾向

じつは、米国ではがんによる死亡率は減少傾向にあるって知ってましたか?
それは、「がんは予防できる病気だ」という前提があるからだと思っています。

テキサス州ヒューストンに世界的に有名ながん専門病院である M.D. Anderson Cancer Centerがあります。

その病院が出している論文には、「がんは予防できる病気で、ただしそのためには生活習慣をしっかり改善する必要がある」と書かれています。

つまり、生活習慣を改善すればがんは予防できるってことですね。
その論文にいろいろと書かれている改善すべき生活習慣のなかで、もっとも中心的なことは「食」(分子栄養学的にいえば栄養素の過不足や偏り)です。

そういうことを目の当たりにすると、「2人に1人ががんになって3人に1人ががんで死ぬ」んだったら、国が全国民に対して生活習慣の改善を徹底すべきではないでしょうか?

でも現状では「早期発見をすれば助かるのでキチンと定期的に検査してね」とだけ言い続けているっていうイメージですよね。

だったら自分で改善しましょうということで、生活習慣の改善について見ていきましょう。

がん予防のための生活習慣の改善とは?

その中心はなんといっても食事や栄養状態の改善だというのは、上で書いたとおりです。
論文に書かれているなかで食事に関することで言えば、例えば下記のようなことです。

  • 果物と野菜の摂取を増やす
  • アルコールの過度な摂取をしない
  • カロリーを制限する
  • 肉の消費を最小限にすること
  • 全粒穀物の摂取

そんなに難しいことではないですね。

だたし、分子栄養学的な側面でいうと、この論文でがんの予防の鍵になると指摘しているのは「炎症」なんです。

僕がいつも書いている「慢性炎症」はがんの発症にとても関係が深いということです。

慢性炎症対策としては、まずやった方がいいことは悪い油を控えて、良い油を摂ることですね。 こちらのブログ記事をまだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてください。

あと「運動は炎症を抑制する」ということがさまざま報告されているので、是非とも運動をしましょう!

でも運動といっても有酸素運動なのか筋トレなのか、ざっくりとみても2種類あって迷いますし、どのくらいの頻度で、どのくらいの量をすればいいのかは、個別な状態をみないと何とも決められません。

ということで、こちらの運動についても回を改めて書くつもりです。

がんの再発予防のための必須条件

読者の中には、すでにがんになってしまった人もいるでしょう。
僕の患者さんでももちろんそういう方はいます。

それでも生活習慣の改善はとても大事(というより必須)です。
そしてそのためには、「自分がなぜがんななったのか」を知ることですね。

人間関係がストレスとしてがんの原因になっていることもあるでしょう。
だったらその人間関係をどうにか改善するなり、思い切って断ち切ってしまうなりしないと、当然またがんが再発するだろうことは想像に難くないですよね。

がん細胞は毎日生まれていて、正常な免疫状態ならそれを日々退治できているといわれています。
免疫が低下している状態が10〜20年続いて初めて、がんとして発症するわけなんです。

だったら、がんの再発を予防するためには「免疫が落ちた状態」を長引かせないことがもっとも大事です。
それには、まずは免疫が落ちた原因を見つけることから始めるべきですね。

食事・栄養以外でがんの予防としてやるべきは、上で炎症対策としても書いた「運動」です。
もちろん睡眠(時間より質の問題が大きい)もとても大事。

そうそう、米国におけるがん罹患の約40%とがん死亡の44%が、修正可能なリスク因子に起因していることが新たな研究で明らかになったという報告が、 A Cancer Journal for Clinicians 誌オンライン版で、2024年7月11日号に発表されました。

ご参考までに。
今回の内容についてはこの辺で。

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