いつも読んでいただいてありがとうございます。
患者さんを診ていて思うんですけど、薄毛で悩んでいる人は男女ともに意外に多いですね。
以前は「AGAって何のこと?」と思ってましたけど、最近では車内広告でもよく見かけるようになりました。
高い育毛剤を使うよりも、もっとシンプルに栄養素で効果があるようなので紹介しようと思います。
ということで今回は薄毛対策です。
その栄養素はマグネシウムです
薄毛対策で使うといいのはマグネシウム。
マグネシウムはミネラルの中でもカルシウム、ナトリウム、カリウムなどと並んで1日の摂取量が100mg以上必要な必須・主要ミネラル5種類のひとつに分類されています。
しっかり摂らないといけないミネラルですね。
おもな働きとしては、骨や歯をつくったり、血圧のコントロールしたりして、身体機能のバランスを調整してくれます。
350種類以上の酵素を活性化させて、様々な代謝をサポートしているんです。
日本人が不足している大事な栄養素のひとつと言っていいでしょう。
どのくらい足りていないのか見てみましょう。
30〜49歳の1日の推奨量は、女性で290mg、男性で370mgです。(2020年版『日本人の食事摂取基準』)
成人男性では1日に100〜120mgのマグネシウムが不足しているといわれています。
WHOの推奨量は厚労省ものよりさらに多いので、日本人のマグネシウム不足はかなり深刻だといえます。
糖尿病だと尿への排泄量が増えるので、さらに不足する可能性が高くなります。
不足するとどうなるかというと、肩こり、眼瞼痙攣、足が攣るなど、筋肉が緊張傾向になります。
厚労省が指摘しているマグネシウム不足による病気は、高血圧、心疾患、2型糖尿病、慢性腎臓病、骨粗鬆症、偏頭痛などです。
以前に書いたこちらの記事でもマグネシウムってどんなミネラルなのかとか、どうして不足するのかについて詳しく書いているので、読んでみてください。
まず、ムダな消耗を食い止める
日本人に不足する理由のひとつは水です。
もともと日本の水はミネラル分の少ない軟水なので、入ってくるマグネシウムの量が少ないんですね。
昔は海のものをたくさん摂っていたので、そこから補給できていましたが、最近は魚介類や海藻類を摂る量が減っているのと、塩が精製塩になってマグネシウムをまったく含んでいないものが使われるようになったことなども影響しているといわれています。
あとは、摂ってもムダ使いしている場合。
せっかくとっても消耗させていては元も子もないです。
ムダな消耗の原因を挙げておきます。
飲酒、服薬、質の悪い食事(典型例はファストフード)、ダイエット、糖尿病、腎臓病、内分泌機能異常、腸内細菌叢の異常などです。
夏場や寝汗などで急激にかつ大量の汗をかくことでもかなりカラダから出ていってしまいます。
また、ストレスでも消耗するんです。
そういった場合には、食事以外での補給が必要になります。
具体的な摂り方は後で書きますね。
それとカルシウムとの摂取比率(これをカルマグバランスといいます)が重要です。
じつはいくらマグネシウムを多く摂っていたとしても、併せてカルシウムを多く摂れば摂るほど、マグネシウムを少なく摂取したことと同じことになっちゃうんです。
そういう意味では、牛乳はカルマグバランスがとても悪いので、控えめにすることをおススメします。
では、どうやって補うか?
さて、肝心な補給のしかたを説明します。
なんといってもマグネシウムは吸収がとても悪いミネラルです。
腸管からの吸収率は 40〜60% 程度と推定されています。
ですから摂り方を工夫しないといけません。
まず、水に溶けていると吸収しやすくなります。
簡単なのは、ニガリで1日20滴を目安に飲み物や汁物などに入れて摂るという方法です。
それ以外に、じつは皮膚からも吸収できるんです。
さてここからがやっと今回のテーマの薄毛対策のやり方です。
食事やサプリでマグネシウムをそれなりに摂っていたとしても、頭髪の毛根部分の血行が悪いためにマグネシウムが局所的に不足している可能性があるんです。
だから対策としては、頭部に塗るのが効果的です。
マグネシウムにはいろんな種類があるんですけど、そのなかで薄毛対策としてどれが適しているのかというと、硫化マグネシウムです。
これって、エプソムソルトという名前でネットでも簡単に買えます。
ふつうはお風呂に入れて浴槽にしばらく浸かるという方法で使います。
ですが今回は毛髪ですから、水に溶いて頭に塗ります。
濃度は平均的な海水中の濃度である13%くらいが良いようです。
つまり1リットル中に13gを溶かします。
それを入浴の10〜20分くらい前に薄毛部分に塗っておいて、入浴したら流します。
髪がちょっとゴワゴワするので、薄めにすればしばらく塗っておいたままにしても大丈夫でしょう。
濃さをいろいろと試してみてください。
もちろんニガリも併用して、体内のマグネシウムが不足しない状態にしておくことも大事です。
「食品以外からのマグネシウムの過剰摂取によって起こる初期の好ましくない影響は下痢である」と『日本人の食事摂取基準』にも書かれているように、大量に摂ると下痢しますが、逆にいうと過剰をあまり気にしなくて良いミネラルだということになります。
薄毛でお困りの方は、是非試してみてください。
今回はこの辺で。
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