いつも読んでいただいてありがとうございます。
コーヒー好きにとっては、コーヒーがカラダに悪いかもしれないと思うと、とても憂鬱になりますよね。
分子栄養学でもよく「コーヒーやカフェインはカラダに良くないから止めましょう」などと言われます。
ですが僕自身も大のコーヒー好き(いまも飲みながら書いています)なので、そのな人たちを代表して分子栄養学的にカラダへの影響について徹底的に調べてまとめてみました。
結論から言うと、コーヒーがカラダに良いか悪いかは、コーヒーを飲みたいと思う理由や遺伝によっても違います。
コーヒーを飲みたい理由は何か?
まずは最初の質問です。
「あなたは1日に3杯以上コーヒーを飲みますか?」
YESと答えたあなた。
もしかするとエネルギー不足かもしれません。
その理由は、後で詳しく書きますね。
もう少しあなたの状況を把握するために、次の質問をさせてください。
「あなたがコーヒーを飲む理由は何ですか?」
- 美味しい
- 香りが好き
- 集中できる
- やる気が出る
- 目が冴える(眠気がおさまる)
香りや味が好き(上の2つ)が理由で飲んでいるのなら、たぶん大丈夫です。
その人は、ただのコーヒー好きでしょう(笑)
でも、もしそれ以外のやる気や集中力のためだったら、もしかするとちょっと問題ありかも。
つまり、エネルギー不足の可能性があるんです。
では、なぜエネルギー不足だとコーヒーが飲みたくなるのでしょう?
その理由が「カフェイン」です。
つまり、あなたはコーヒーが好きなのではなくて、カフェインが欲しいだけかもしれません。
カフェインの効果と欲しくなるメカニズム
ここで、カフェインがカラダへどんな影響をもたらすのかについて書いておきます。
カフェインがカラダに与える影響には、次のようなものがあります。
- 中枢刺激〜中枢神経をマイルドに刺激して脳を興奮状態にします
- 強心・末梢血管拡張 〜心臓の負担を減らします
- 脳血管収縮(頭痛緩和)〜 脳の血管が収縮するタイプの頭痛には効果があります
- 利尿 〜尿の出が良くなり、トイレが近くなります
- 代謝亢進 〜脂肪を燃焼させたり、基礎代謝を向上させます
- 胃酸分泌〜胃酸分泌を亢進させ、消化吸収能力が向上し、ミネラルの吸収が向上します
カフェインは摂取後約30分程度で吸収されて血管内に入り、 全身にいきわたります。
結構早いんですよね!
ですから、日中に眠くなってしまっときなどに、コーヒーを飲んで仮眠をとると長く寝過ぎてしまうことがなくて良いようです。
不眠に対する影響としては、カフェインの量にもよりますが、6時間程度影響が出るという論文もあるようですので、15時以降は控えたほうがいいかもしれません。
それから、多くの化学物質は血液-脳関門の働きによって簡単には脳の中に入れませんが、カフェインはこの関門を 通過して脳にも入ります。
ということは、脳内のいろいろな物質に影響を及ぼせるということで、つまりメンタルへの影響も大きいということです。
また、認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病において、コーヒーを摂取した人は発症のリスクが低下するという報告もあります。
さらにいえば、アルツハイマー病と並ぶ神経変性疾患であるパーキンソン病のリスクが、カフェインの摂取によって低下することも報告されています。
このカフェインが欲しくなるメカニズムは、だいたい次の2つのパターンです。
- 低血糖や高血糖によるエネルギー不足
- 交感神経を優位にしたい(つまり「闘争」モードに切り替えたい)
①は、糖質を取りすぎたり、膵臓からのインスリンの分泌量が少なくなっているか、効きが悪くなっているかです。
②は、慢性疲労だったり、ストレスが溜まり過ぎていたりして、カフェインの助けなしには集中できなかったり、眠気を抑えられなかったりするからです。
ここでちょっと、コーヒーの薬膳的(東洋医学的)な効能についても触れておきましょう。
- 五性:温
- 五味:苦・甘・辛
- 帰経:心
五性、つまりカラダを温めるか冷やすかでいうと、「温」つまり温めます。
五味は苦・甘・辛です。
臓腑でいうと心の働きを助けて、精神状態をアップさせます。
また、気を補う作用があるので、やる気が出ないときなどに飲むといいと思います。
苦味が、便秘や二日酔いに効果的です。
こんな症状ありませんか?
あなたがもし下のような症状があれば、それはもしかするとカフェインの影響かもしれません。
- 不眠
- 動悸
- イライラ
- 不安
だとしたら、コーヒーをしばらくの間、止めてみるのもひとつの方法です。
最初はツライはずです。
いきなりまったく飲まないというのは無理かもしれません。
頭痛が出てしまう人もいるようです。
はじめは、少しずつ減らしていきましょう。
カラダが慣れてくれば、コーヒーなしでも快適になってくるかもしれません。
カフェインで集中力をキープし続けていると、最後はストレスに抵抗できなくなって、副腎疲労(慢性疲労)に陥ったりする可能性があります。
いますぐできる対策としては、
- ボーンブロスなどの出汁スープを積極的に摂る
- カフェインレスの飲み物に変えてみる
- コーヒーは1日に2杯までにする
カフェインはコーヒーだけに含まれているわけではない
紅茶にも緑茶にも、そして栄養ドリンクにもカフェインが含まれているので、カフェインが原因でコーヒーが飲みたいという人には注意が必要です。
紅茶にはコーヒーの半分程度、煎茶には1/3程度ですが、玉露はもっとも多くてコーヒーの3倍弱、 なんとエナジードリンクで多いものにはコーヒーの約5倍ものカフェインが含まれています。
世界保健機関(WHO)が2001(平成13)年に公表した 「Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding (BookletFor Mothers)2001」 には次のように書かれています。
紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれている。
このため、カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していないが、妊婦または授乳期の母親は、コーヒーの摂取量を1日3~4杯までにすべきである
まあ3〜4杯なら結構な量ですね(笑)
コーヒーは、飲み過ぎなければ決して健康を害するモノではなく、カラダに良い効果もたくさんあるようです。
コーヒーの効果に関する論文
最近はコーヒーに関する論文がいろいろと出ているので、ちょっと紹介しておきます。
まずはWHO。
世界保健機関(WHO)は長年、コーヒーは発癌性がある「可能性のある」食品に分類していました。 ところが最近、コーヒーと癌の関連性を示す証拠は「不十分」であるとの認識を示しています。
それから最新版の「米国人のための食生活ガイドライン」(Dietary Guidelines for Americans)では、少量のコーヒー摂取は慢性病を減らすなど、健康にいい可能性があると指摘しているんです。
いい感じですね(笑)
無糖のカフェイン入りコーヒーの摂取量は、体重減少と相関していた(つまり無糖のコーヒーはダイエット効果があるということ)という報告もあります。
ただし、砂糖を加えるとさらなる体重増加を招くとしているのでご注意ください。
ダイエットにはブラックコーヒーがオススメです。
カフェインの摂取がうつ病リスク低下と関連しているとする報告もあります。
早朝(5:00〜8:00)にカフェインを摂取した人は、そうでなかった人と比較し、うつ病有病率が低かった。
コーヒーは朝に飲むのがいいようです。
それから面白かったのは、コーヒーに多く含まれているカフェインの代謝にはたくさんの遺伝子が関係していることが最近わかってきたという論文です。
「CYP1A2」という遺伝子多型(シトクロムP450という遺伝子の塩基配列の1タイプ)が、カフェインの代謝スピードに影響を与えるということは過去の研究からわかっていたんです。
つまりコーヒーを飲むと眠れなくなってしまうタイプは、この代謝のスピードが弱いということになりますね。
そしてこの遺伝的にカフェインに弱い人がコーヒーを大量に飲むと、心筋梗塞になるリスクが高まることが報告されています。
ですけど、コーヒーを飲んでも眠れなくなったりしないタイプの人は、カフェインの代謝が早い遺伝子を持っている可能が高いので、その人にとってはコーヒーはカラダに良い可能性が高いといえそうです。
なかなか面白いですよね(笑)
今回のまとめ
かなり長くなってしまったので、今回の内容をまとめます。
- コーヒーを1日に3杯以上飲む人は、エネルギー不足かも
- コーヒーを飲む理由がとても重要
- コーヒーには、眠気を覚ます、血圧や心拍数を上げる、集中力を高めるなどの効果がある
- 動悸、イライラ、不安などの症状が出たら一時的にでも飲むのを中止しよう
- カフェインはコーヒー以外の飲み物にも結構含まれている
- コーヒーに強い人にとっては、コーヒーはカラダに良い可能性が高い
今回は以上です。