こんにちは、島田です。
今回は、不妊の原因が栄養失調かも知れないというお話です。
新型栄養失調とは?
「新型栄養失調」とか「質的栄養失調」ってご存知ですか?
栄養の世界で、最近よく使われる言葉です。
#16「分子栄養学のオススメ書籍紹介」であげた本にも「食事でかかる新型栄養失調」というのがありましたね。
ふつう栄養失調というと、「食べるものが手に入らないので栄養全般が不足して…」と考えますよね。
ですから「現代に栄養失調の人がそんなにいるわけない」と思ってしまがち。
ですが、実際は結構多いんです。
この「新型」の中身は、カロリーは十分すぎるほど足りているけど、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが足りないということ。
カロリーとは、簡単にいうとエネルギーってこと。
これはある程度は足りているれけど、カラダをつくる材料や、バランスを整えるための栄養素が足りていなんです。
まあ、カロリーを必要以上に摂りすぎて、ほとんど運動をしないから、生活習慣病が増えるわけですけどね。
これってまさに、食べ物があふれている現代らしい栄養失調ですね。
若い女性に多い新型栄養失調
特に働く女性にこの新型栄養失調が多いといわれています。
下の表を見てください。
以前にも出したことがある日本の20代女性の栄養状態です。
これを見ると、足りていないビタミンやミネラルがたくさんあります。
特に足りていないのが、ビタミンだとA、B1、C、ミネラルは鉄、カルシウム、マグネシウムですね。
これらの栄養素が不足するとどんなことが起こるのか、ちょっと想像してみると…。
鉄が足りないからエネルギー不足で元気がない。
それで甘いものを摂るからB1が消耗する。
ビタミンAが足りないからお肌トラブルが多い。
鉄もCも足りないとコラーゲンが作れません。
Aもお肌と関係するし、足りないと目の調子が悪くなる。
カルマグバランスが悪いと骨がもろくなる。
マグネシウムが不足するとカラダのいろいろな代謝が停滞するので、不調だらけ。
ほんとうに大変ですね。
100%のラインは、厚生労働省の出している「日本人の食事摂取基準」に基づいた推奨量(この量を取れば不足症にならないという量)です。
推奨量というのは欠乏症にならないために必要な量のことです。
例えばビタミンCなら1日に100mg。
これだけ摂っていれば、欠乏症の壊血病にならないという量ですね。
ですがよく書いているように、プチ壊血病の人はゴロゴロいます。
ぶつけた覚えもないのに青タンができる、というやつです。
これは血管のコラーゲンが不足して、血管がもろくなっている状態なんですね。
これがひどくなって壊血病になると、歯茎の出血から始まって、最後は全身の血管から出血して死に至ります。
そんな怖い病気の始まりなんですよ。
日本人は血管の病気で亡くなる方が多いというのも、知っておいた方がいいことですね。
話を元に戻すと、この推奨量に達していないということは、ハッキリ言って病気になるレベルなんです。
チェックしてみよう!
ところで突然ですが、下のような症状があったりしませんか?
・肌のツヤがなく、お化粧のノリが悪い
・髪の毛が細く、ツヤやコシがない
・爪が薄く割れやすい
・朝起きるのがツラい
・健診で「痩せすぎ」と言われた
・なんとなく気持ちが不安定
もしあれば、もしかするとあなたやあなたの患者さんも、この新型栄養失調かもしれません。
ではどうしたら新型栄養失調かどうかを知ることができるんでしょうか?
それは次の様な方法を使います。
皮膚や爪、髪の毛、舌、脈、お腹などをチェックして、血液検査結果を見て、少し追加で質問をさせてもらうと、結構なレベルでどんな栄養素がどの程度足りていないか推測ができるんです。
これが「分子栄養学」の考え方です。
その結果にもとづいて足りない栄養をサプリで摂ると思っている方も多いんですけど、そうではありません。
不足している栄養素がわかったら、次にどういう理由で足りなくなっているのかを突き詰めていきます。
単純に摂ってなければ、摂る様にアドバイスするだけです。
ですけど、かなりの方は摂っているのに足りなくなっていたりします。
その理由もいろいろあるんですけど、吸収が悪かったり、他の栄養素とのバランスだったり、消費量が多かったりするわけ。
それを見つけて根本的な原因にアプローチするというのが、本来の分子栄養学の使い方になります。
もちろん、妊活にも栄養不足を解消することがとても効果的。
理由は、妊娠には普通の生活以上にいろいろな栄養が必要だからです。
それに、お母さんが栄養不足だと子供もそのまま栄養不足の状態で生まれてきちゃいます。
例えばミトコンドリア機能。
ATPを作っているのはここがメインだからエネルギー産生にとても重要な細胞内器官でしたね。
このミトコンドリアの遺伝子は母親由来だということがわかているんです。
ってことは、母親がエネルギー不足なら子供もそうなる可能性が高いってことですね。
こんな様々な理由から、前回のブログ(妊活の正しい順序)で書いたように、不妊治療を受ける前に妊娠できるカラダをつくることが大切なんです。
この栄養指導を鍼灸師ができるようになるって、不妊治療に関しても「鬼に金棒」だと思いませんか?
妊活シリーズ、しばらく続けます(笑)
ではまた。