サプリで摂ってはいけない栄養素

東洋医学×分子栄養学

今回は、サプリで摂ってはいけない栄養素についてです。
たぶん、皆さんが「えっ」と感じるものが含まれています。
サイトの不調があったために久しぶりのブログなので、ちょっと長くなるかもしれません(笑)

サプリで摂ってはいけない栄養素3つ

まずはネタ本の紹介です。

トーマス・E・レビー

今回参考にさせてもらった本は、『口腔感染症の脅威』(トーマス・E・レビー、原題:Hidden Epidemic,2017)です。

歯科医の友人にいただいた高価な本(9,900円)です(笑) なかなか勉強になる本でした。

著者は、分子栄養学界では有名なビタミンCの世界的な専門家。
本当に怖い歯の詰め物』の著者で有名なハル・ハギンズ先生と共著で『歯科治療に潜む致命的な危険性』という本も書いている方です。

その3つの栄養素とは?

この本に、サプリメントで摂取を控えるべき栄養素が3つ書かれています。
カルシウム、鉄、銅です。

ちょっと驚いた方も多いかもしれません。

もちろん、これらは健康にとって必要不可欠なミネラルです。
ただ、安全域(不足と過剰の間)がとても狭いので、毒になりやすいからサプリメントで摂るのは注意が必要なんです。

その理由などについて、もう少しく書いていきましょう。

カルシウム

まずカルシウムから説明していきましょう。

カルシウムのはたらき

カルシウムは、骨の強化のために絶対に摂るべきミネラルだと強く信じている方がとても多いと思います。
ですが、それは間違いです。

体内のカルシウムのうち99%は骨や歯に蓄えられていて、必要に応じて骨から供給されるようになっています。
だから、わざわざカルシウムをサプリで摂る必要はないんです。

逆に摂りすぎるとどんな弊害があるかを書いていきます。

酸化ストレス

カルシウム濃度が細胞内で高まると酸化ストレスになります。
これは、さまざまな慢性変性疾患の原因になることがわかっています。
血管の内壁に沈着すれば、動脈硬化の原因にもなります。

またカルシウムの摂取量が増えると、心筋梗塞やがんなどのリスクだけでなく、全死因死亡率も上がるという論文もあります。

食品からとっている分にはそこまでの影響はないと考えられますが、カルシウムと拮抗するミネラルのマグネシウムとのバランス(これを業界用語でカルマグバランスといいます)がとても大事なんです。

つまり、カルシウムばかり摂るのではなく、カルシウムとマグネシウムのバランスを良くすることを考えて摂る必要がある、ということです。

参考までに書くと、このカルマグバランスが非常に悪い食品の典型が、牛乳やヨーグルトです。

骨粗鬆症対策で摂るべきはビタミンD

ビタミンDは最近とても熱心に研究されているビタミンで、「これはもうホルモンといってもいい」とまでいわれだしています。

不妊治療にも欠かせないことがわかってきていて、不妊外来でもビタミンDの血中濃度である「25OHビタミンD」を測るクリニックも結構あるようです。

ビタミンDが不足すると、免疫力が低下したり、骨が弱くなったりします。
コロナ対策のビタミンとしても注目されました
あのトランプ前米大統領が在任中にコロナに罹患した際に、医師団が処方したことでも知られています。

脂溶性のビタミンなので、油の吸収がうまくいかないとサプリで摂っても血中濃度が上がってきませんが、太陽の光にあたることで皮下のコレステロールからつくられます

ちなみにコレステロールを下げる薬を飲んでいると、このビタミンDの生成にも影響すると考えられます。

動脈硬化対策ならマグネシウム

マグネシウムは、なんといっても体内の300以上の酵素反応に関わっているといわれる大事なミネラルです。

吸収が悪いことでも有名です。
吸収が悪いから、水酸化マグネシウムは下剤として使われますからね。

マグネシウムを簡単に摂る方法としては、僕は患者さんに「にがり」をススメています
飲み物入れてもいいし、スープに入れたり、ご飯を炊くときに入れたりして、1日に15滴くらいを目安に摂ってみてください。

眼瞼痙攣や足がつる、筋肉が緊張傾向にある場合などに効果的です。
お酒を飲む方は消耗しがちなので、是非摂るようにしてくださいね。

マグネシウムは、ミネラルのなかで唯一それほど過剰症を気にしないで摂れるミネラルだといわれていますので、安心して積極的に摂るようにしてください。

ビタミンDもマグネシウムも、どちらも足りていない人が圧倒的に多いビタミンとミネラルです。
いつも書いているやつです(笑)

次に鉄です。
結論からいうと、鉄欠乏性貧血以外の場合は取らない方が良いミネラルです。

鉄のはたらき

鉄はヘモグロビン、酵素、タンパク質などの生成には必要な大事なミネラルです。
いつも書いているプチ壊血病、ぶつけた覚えもないのに青タンができるコラーゲン不足の方に必要な栄養素のひとつですね。

鉄には二価と三価があって、電子を素早く伝達する働きがあります。

フェントン反応

そのためニ価の鉄は、もっとも強力な酸化物質であるヒドロキシラジカルの生成を促します。
これをフェントン反応といいます。

つまり鉄は錆びやすいってことです。
酸化は老化に直結しますから、アンチエイジング的にもなるべく避けたいですね。

鉄の存在は、結果的に細胞内の酸化ストレスを増やすので、その副作用としてがんなどの慢性疾患の原因になるわけです。

鉄とがん細胞

ほぼすべてのがん細胞は、細胞内に鉄をため込んでいるといわれています。

実際にキレートという方法によって鉄を体内から除去すると、多くの場合、がん細胞は増殖を減速または停止し、アポトーシスが起こることもあるといわれています。

がんの方もまた、鉄をむやみに摂るべきではないということになります。

鉄と細菌

また、鉄の摂取量が多いほど、ヘリコバクターピロリを含む腸内の病原微生物の量が多くなることもわかっています。

カンジダ菌も鉄が大好きなんです。
だからこそ、不用意に鉄サプリを摂れないわけです。

鉄を摂る条件のひとつとして、腸内環境が良い状態にあることが挙げられます。

人間の体には鉄の排出機能がないために、過剰に摂取された鉄は体内に蓄積されていくんです。
多くの国が食品に鉄を添加していますが、鉄不足に悩まされないというメリットがある一方で、鉄過剰の症状に悩まされる人も多く存在するというデメリットもあります。

鉄の摂り方には、くれぐれも注意しましょう。

銅の場合も鉄と同様に、細胞内のフェントン反応を亢進して、過剰な酸化ストレスをもたらします。

特に銅は、ホルモンの関係で女性で過剰になりやすいんです。
銅過剰の典型的な症状は、イライラやうつなどです。

銅は亜鉛と拮抗するミネラルなので、銅過剰の場合には亜鉛を摂るようにアドバイスするのが普通です。

ですから、銅をサプリで飲む必要はほとんどありません。
カルマがバランス同様、銅亜鉛バランスも重要です。

まとめ

まとめると、カルシウムと銅はけっしてサプリで補給すべきではありません。
鉄も鉄欠乏性貧血の場合以外では摂るべきでなく、貧血が治癒したらただちにやめるべきです。

くれぐれも気をつけましょう。

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