いまやダイエットの主流にまでなったロカボ(糖質制限)。
いまだに賛否両論があって、やるべきかどうか悩んでいる方も多いと思います。
この記事では、
- 糖質制限を始めてみたけど、主食が食べられないのはツラ過ぎる
- これから始めてみようと思っているけど、なるべく楽に結果を出したい
- 低糖質にしたら、お通じが悪くなってしまって困っている
という方たちに向けて、糖質制限中でも食べられる主食の食べ方についてまとめてあります。
はじめに結論から!
まず最初に、結論から書きます。
主食(炭水化物)は60℃以下に冷えてから食べれば、血糖値が上がりにくくなります。
これをレジスタントスターチ といいます。
結果的に、脂肪に変換されにくい糖質に変わります。
つまりダイエットに有効なわけ。
しかも、食物繊維と同じような働きをしてくれるから、腸内環境にも良いので、お通じがスッキリ。
主食は冷やして食べるだけ。 これで、ロカボもやりやすくなりますね。
なぜ炭水化物なのに太らないのか?
ではなぜ、レジスタントスターチは食べても太りにくいのか?
そもそも、レジスタントスターチってなんのことなのか?
そのあたりをジックリ解説していきましょう。
消化されない?レジスタントスターチってなんのこと?
一言でいうと、「消化されない(レジスタント)デンプン(スターチ)」という意味です。
つまり、難消化性のデンプンのこと。
ここでいっている「難消化性」の意味は、小腸まででは消化されずに、大腸まで届くという意味です。
なぜ大腸まで届くとイイかというと、普通の糖質(もちろんデンプンも糖質)は、小腸で吸収されて血液中にブドウ糖として流れて、血糖値が上がるわけ。
ところが、小腸で吸収されないと、血糖値が上がらないので、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されにくくなって、脂肪が増えにくくなるので、「ダイエットに最適」ということなんです。
つまり糖質をとると太るのは、こんな流れです。
血糖値が上がる → インスリンが出る → 脂肪に変わる → 太る
どんなものに含まれているの?
レジスタントスターチはどんな食材に含まれているかというと、インゲン豆、トウモロコシ、大麦、白米、全粒小麦(全粒粉)、ジャガイモなどです。
最初に書いたとおり、温かい状態より冷えた状態の方が増えるので、冷まして食べましょう!
レジスタントスターチが多い食品のことを「ハイレジ」というらしいんですけど、簡単にいうとおにぎりとか、ポテサラとかがイイということ。
ランチとかで温かいご飯がついてきても、最後まで食べないでおいて、冷えてから食べるとイイってことですね。
ここでちょっと糖質制限を復習
ここでちょっとロカボ(糖質制限)について復習しておきましょう。
この記事のベースになっているのが、低糖質食、ロカボ、糖質制限などと呼ばれている食事法ですから、概略をおさらいしておきましょう。
そもそも糖質ってなに?
3大栄養素といえば、炭水化物、脂質、タンパク質の3つでした。
この3つはどれもエネルギーになるから、「3大」なんです。
このなかの炭水化物は、糖質と食物繊維に分けられます。
つまり、 炭水化物=糖質+食物繊維 食物繊維についても大事なので次に説明しますけど、この糖質が太る原因だったことがわかったんですね。
だから、その糖質を控えるとヤセるわけです。
ですが最近になって、「糖質を全部悪者にするのもどうなんだろう」という意見が出てきました。
これを「糖質選択」なんて言ったりします。
その場合は、糖質をさらに分けたなかで、多糖類だけは食べてイイと考えます。
糖質は単糖類、二糖類、多糖類に分けられます。
どんな食べ物が属しているか、簡単にまとめておきましょう。
単糖類:ブドウ糖・果糖(蜂蜜や果物類)
二糖類:ショ糖・乳糖(砂糖、乳製品の牛乳・ヨーグルト)
多糖類:でんぷんなど(穀類、イモ類)
【メカニズム】なぜ糖質を取ると太るのか?
糖質を食べると、血液中の糖分(血糖値)が上昇します。
すると膵臓からインスリンというホルモンが出て、血糖値を下げようとします。
どうやって下げるかというと、次の3つくらいです。
❶グリコーゲンという形(意外に少ない)にして、肝臓や筋肉に蓄える
❷すぐに必要なエネルギーとして使う
❸脂肪と蓄えておく
だから、たくさん糖質を取ると、脂肪が増えるんです。
ちなみに、脂肪を取ると脂肪になると思っている方、それ間違いですよ!
取ってもイイ糖質、ダメな糖質
先ほどの糖質の分類の3種類のうち、取ってもイイのは多糖類でした。
それ以外の単糖類、二糖類は、基本的に控えるようにしてください。
なぜって、カラダに悪いし太るからです。
ここでの話は、その取ってもイイ多糖類の食べ方です。
できるだけ冷めた状態で食べると、血糖値が上がりにくいので、そうです! 太りにくいってことです。 わかりましたか?
じつは大切なのに足りていない食物繊維
次は、食物繊維のお話です(これも炭水化物でしたね)。
ちょっと面倒な話だと思われているかもしれませんが、とても大事なことなので続きも読んでね。
ほとんどの日本人が足りていない食物繊維
まずはどのくらい必要でどのくらい取っているのかということ。
厚生労働省のデータをみてみます。
5年ごとに出される「日本人の食事摂取基準」によると、食物繊維の摂取基準量は、成人(18~69歳まで)で男性が1日20g以上、女性が18g以上です。
ところが、2014年の国民健康・栄養調査によると、実際の摂取量は年代によって12.8~16.4g(男女合わせた平均値)になっています。
これは、どの年代でも目標量を下回っているということです。
つまり、現代日本人の食生活では、食物繊維は大きく不足しているわけ。
ところで、食物繊維ってなに?
これ、一言でいうと「消化できないもの」のことです。
消化できないって、カラダに何の得にもならないと思ったあなた、正解です。
でも、ある意味で不正解。
なぜかというと、食物繊維は善玉菌が好きなんです。
ヒトは消化できないけれど、善玉菌のためには必要ということ。
つまり、食べると腸内環境が良くなるわけなんです。
これってとても大切なことですね。
「うんこが出やすい」と「うんこがたっぷり」
食物繊維には、大きく分けて2種類があります。
水に溶けるタイプ(水溶性)と溶けないタイプ(不溶性)。
簡単に言ってしますと、水溶性はうんこが出やすくするし、不溶性はうんこの量を増やすんです。
だから両方とも大切です。
分子栄養学的には、腸内環境ってとても大事なんですね。
腸が悪ければ、消化も吸収もできないし、代謝も栄養も、解毒だってうまくいかないからです。
だからこそ是非しっかり取って欲しいので、それぞれがどんな食材に多く含まれているかをまとめておきます。
・水溶性食物繊維:納豆、インゲン豆、きな粉などの豆類やごぼう、かぼちゃなど根菜類やイモ類、海藻類、果物など
・不溶性食物繊維:とうもろこし、ブロッコリー、ライ麦パン、納豆、インゲン豆、サツマイモ、ゴボウなど穀類、豆類、野菜類など
ところで本題に戻りますけど、このレジスタントスターチは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特性をあわせ持っているんです。
どうですか?
凄いでしょう!
だから、ご飯は冷まして食べてね。
足りないと大変!食物繊維
食物繊維が足りない人が多い現代の日本ですが、足りないとどうなるかもまとめておきますね。
裏返せば、食物繊維を取るメリットということになります。
・便通を悪化させる〜出やすさも量も減れば当然です
・悪玉菌を増やして、腸内環境を悪化させる〜善玉菌が減れば、悪玉菌が増えるんです
・体脂肪の蓄積や脂肪肝、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の発症〜生活習慣病まっしぐらですね
・がんや免疫機能の低下〜新型コロナに感染しやすくなりそうですね
・精神疾患に影響を与える〜なんと、メンタルにも影響するんです
どうですか? 食物繊維、とりたくなったでしょう?
しつこいかぁ(笑)
レジスタントスターチの効果
さて、やっと本題です。
レジスタントスターチが糖質制限的には食べてもイイ糖質だということはわかっていただけたと思います。
しかも、食物繊維と同じような働きをするので、腸にもイイんでしたね。
それ以外に、どんな効果があるのかをまとめました。
ダイエットの味方!血糖値がが上がりにくい!
レジスタントスターチは血糖値の上昇を抑える効果があります。
もともと、糖質を控えるのは血糖値を上昇させないためでした。
血糖値が上がらないと、お腹が空きにくくなるので、ダイエットにも最適です。
お腹にいい!
レジスタントスターチは大腸に届いて短鎖脂肪酸というものをつくります。
これは腸の栄養になる脂肪酸なんです。
腸の栄養の意味ですけど、わかりやすく言うと、腸の動きが良くなるってことですね。
この短鎖脂肪酸、善玉菌の代表選手のビフィズス菌が増えるのを助けてくれるので、いわゆる「プレバイオティクス」効果があるということです。
お腹が空きにくい!
レジスタントスターチは、空腹感を抑える効果があります。
つまり満腹感が持続しやすいということです。
これ、最強ですよね。
カロリーが少ない!
レジスタントスターチは、摂取カロリーを抑えてくれます。
いまはもうカロリー神話は崩壊していると思いますが、でもカロリーを取り過ぎればやはり太りやすいんですね。
だからこれもメリットですね。
東洋医学的なこと
最後にちょっと東洋医学的なことも書いておきます。
東洋医学での食事指導的な要素といえば「薬膳」ですね。
そして炭水化物のメインは「米」です。
ですから、お米の薬膳的な傾向をみてみましょう。
五味、つまり味は「甘」です。
お米を噛んでいると甘くなるからわかると思います。
五性といってカラダを温めるか冷やすかという要素は「平」、つまり温めも冷やしもしないんです。
主食という意味では、どんな人にも向いていて適しているのかもしれません。
お米にはどんな効果があるのかというと、「気を補う作用」です。
気とは、エネルギーのもとなのでとても必要です。
糖質制限をしていても、やはり気を補うお米を冷やして食べてみてください。
参考書籍など
付録として、ご自分でこの「レジスタントスターチ」を勉強してみたい方のために、書籍をご紹介しておきましょう。
・炭水化物は冷まして食べなさい/笠岡誠一
・炭水化物を食べてもやせる!レジスタントスターチ式ダイエット/池谷敏郎
・おいしく食べて体にいい 快腸でんぷん(レジスタントスターチ)健康法/早川享志
今回の記事のまとめ
レジスタントスターチを上手に使って、健康にダイエットをしてみてください。
・炭水化物は冷やして食べると、血糖値を上げないので低糖質ダイエットにオススメ
・これをレジスタントスターチという
・不足しがちな食物繊維と同じ働きをするので腸内環境にもイイ
・空腹感を抑えてくれるので、ダイエットの大きな味方
・取りやすいオススメは、おにぎりやポテサラ