書籍紹介『肥満の科学』ヒトはなぜ太るのか

東洋医学×分子栄養学

突然ですが、「ダイエットしてますか?」(笑)

ダイエットの方法ってカロリー制限とか糖質制限などいろいろありますけど、どれが正しいのか、どれが自分に合っているのか分かりませんよね。

正しいダイエットをしないと、やめた後でかえってリバウンドしてしまうので、困りものです。

分子栄養学的な正しいダイエットについては以前1Dayセミナーでやったんですけど、動画で受けられるようになっているので、興味のある方はチェックしていみてください

話を本題に戻しましょう。

この本に出会ったのは、2023年4月に発表された「The fructose survival hypothesis for obesity」(Richard J.Johnson)という論文がキッカケなんです。

最新の「フルクトース理論」によるダイエット方法について書かれていたので読んでみたら、とても興味深い内容だったので、毎月やっているスキルアップセミナー(LPのURLをリンク)でも話をしました。

あるとき大型書店をブラブラしていてこの本『肥満の科学』のタイトルに惹かれて手に取りました。

中身をパラパラと見てみるとなんだか見覚えある内容だったので、買って帰って調べてみたら、以前にセミナーで紹介した論文だったことが分かったんです。

不思議なご縁ですよね(笑)

ということで、今回はこの最新のダイエット理論の本の内容を簡単に紹介したいと思います。

サバイバル・スイッチ

ジョンソン氏は、肥満の原因として「サバイバル・スイッチ」という概念を提唱しています。

これは、動物が冬眠や渡りの前に体重を増やすように、人間も同じようなメカニズムで脂肪を蓄積してしまうという理論なんです。

サバイバルという言葉からもわかるように、生き抜くために必要なシステムだと言っています。

このスイッチがオンになると、脂肪を効率的に生成して、さらにその燃焼量を減少させてしまうようになります。
つまり、太るわけ。

そしてフルクトース(果糖)こそがこのスイッチをオンにする肥満の主な原因である、と強調しています。

フルクトースは基本的に植物がつくり出す糖で、一般的には果物や野菜、ハチミツなどに多く、甘みが強いことが特徴です。

フルーツのみで生きているフルーツ王子なる人物もいるくらいなので、世間的にはカラダにとって良い糖だと思われている風潮があります。

「なぜフルクトースなのか」について、もう少し見ていきましょう。

フルクトースの影響

フルクトースは、代謝を低エネルギー状態にして脂肪の燃焼を抑制することが報告されています。
これによって、食べ物から得たエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなるわけです。

動物は冬眠前に、フルクトースの多く含まれた果物をたくさん摂ります。

フルクトースは体内に入ると、特に肝臓で代謝されて、脂肪生成を促進します。
これによって体重(脂肪)を増やして、冬眠に備えるんですね。

また、フルクトースは尿酸の生成を促して、細胞内で酸化ストレスを引き起こします
つまりカラダが酸化しやすくなるわけ。

酸化=老化でもあるので、これはマズいことですね。

この酸化ストレス状態が持続すると、代謝機能の低下や脂肪蓄積が進むこともわかってきています。
果物は秋にできるものが多いですが、これらはこれから来る冬に備えるための食べ物ということもできそうです。

果糖ブドウ糖液糖が問題

従来の分子栄養学の考え方でも、果糖は血糖値を上げにくいが脂肪に変わりやすいといわれていました。

血糖値の乱高下は、甘いものへの渇望や食後の強烈な眠気を引き起こすだけでなく、メンタルの不調にも影響するので、栄養アドバイスの際に問題にすべき最重要課題です。

血糖値の安定という意味では、脂肪に変わりやすくても血糖値を上げにくいので、果物(特に甘味の強くないもの)はある程度推奨していました。

でもフルクトースが肥満の原因だといわれると、さすがにススメにくいですね。

ただ、ふつうの果物以上にカラダに悪いものがあるんです。
それが果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖です。

アメリカでつくられて余ったトウモロコシを原料に人工的につくられた糖で、安価で甘みが強いのが特徴です。 最近の清涼飲料水やスイーツ類などにはほとんど入っていると思っていいです。

一度、裏のラベルを見て確認してみてください。
そして、できるだけ摂るのを控えることをおススメします。

秘密の果糖供給源

この論文の画期的な面は、じつはフルクトース理論以外にもあります。

科学者の間では、私たちのカラダが果糖をつくり出すことは何十年も前から知られていたようなんです。
そのための代謝経路をポリオール経路といいます。

ただ以前は、この経路はそれほど多くの果糖をつくり出すものではないという認識だったんです。

ですが血糖値が高い状態では、このポリオール経路が活性化して、多くの果糖を生み出すことが著者らのグループの研究によって分かりました。

簡単にいうとこういうことです。

食後などの血糖値が高い状態で果物ではなくてもスイーツなどを食べると、その糖が果糖に変換されて、脂肪の蓄積や代謝の低下につながり、太りやすくなるということです。

一言でいうと、食後のデザートはダイエットの大敵なんです!

アーユルヴェーダの教えにも「果物は空腹時以外には食べてはいけない」というのがあるそうですが、ある意味それを科学的に証明しているともいえますね。

今日から気をつけてください。
今回はこの辺で。

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