脂肪の燃焼に必要な栄養素

東洋医学×分子栄養学
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いつも読んでいただいてありがとうございます。

突然ですが、分子栄養学的に「脂肪を燃焼させる」にはどうしたらいいのか? とよく聞かれます。
つまりダイエットに必要な栄養素ってことですね。

ご存知のように、僕は栄養カウンセリングをやっています。
勝手に「東洋医学ドック」という名前をつけて、東洋医学×分子栄養学の両面からお身体の状態をチェックし、それにもとづいて食事・栄養・運動などのアドバイスをするというものです。

ついでに宣伝すると、オンラインでもお受けしていているので、鎌倉に来られない方でも大丈夫です(笑)

そこでもダイエットの相談もたくさん受けるんですけど、実は痩せるために必要なことって人によって違うんです。

そう聞くと、ちょっとがっかりしたかもしれません。
でも、ここで読むのを止めないでください(笑)

だってそうですよね。
いつも書いているように、ここが大事な個別性というやつです。

誰でも簡単にこれを摂れば痩せるなんてありえないということは、このブログの読者の皆さんならもう分かっていますよね。

ということで今回は、個別性の究明は置いておいて、一般的に脂肪を燃焼させるのに必要とされる栄養素についてたっぷりと書いていきます。

脂肪を燃焼させるのに必要な栄養素とは?

その栄養素は「カルニチン」(サプリだとL-カルニチンと書かれていることが多い)といいます。

じつはこのカルニチン、ダイエット効果はもちろんのこと、病気へのリスクを下げる効果や、疲れにくいカラダをつくる効果も期待できるんです。

もう少し細かく見ていきましょう。

カルニチンは、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンを元にして肝臓で合成される物質で、身体のほぼすべての細胞(特に骨格筋や心筋に多い)に存在します。

エネルギー産生において重要な役割を果たしています。

細胞内小器官のミトコンドリアではさまざまな栄養素の代謝が行われていて、人が活動するために必要なエネルギーの大半が生成されています。

このミトコンドリアについては、以前書いた下の記事を読んでみてください。

脂質はエネルギー効率の良い栄養素で、体内で脂肪酸に分解されますが、脂肪酸単体ではミトコンドリアにまでたどり着くことができないんです。

カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を担っていて、ミトコンドリアに運ばれた脂肪酸(正確には長鎖脂肪酸)を酸化(燃焼)することでエネルギーを生み出しています。

さらには、生成された有毒な物質をミトコンドリアの外に運びだして、蓄積するのを防いでくれたりもします。

つまり、脂質の代謝に欠かせない物質なんですね。
だからダイエットで減らしたい脂肪を燃焼させるのにこの栄養素が不足していると、うまく燃焼してくれないということになるわけ。

ここでひとつだけ注意しておきたいのは、脂質の種類のこと。
最近だいぶ有名になってきた中鎖脂肪酸(MCT)は、このカルニチンと結合せずにミトコンドリア膜を通過してエネルギーになることができる優秀な油なんです。

エネルギー切れを起こしがちな人や認知症の人などにはとても必要な油ですし、ダイエットのときにも強力な助っ人になります。

油については、こちらを読んでない方はぜひこの機会に(笑)

不足しやすい人の特徴

ということで、カルニチンが不足するとエネルギーが十分につくられないため、カラダにさまざまな悪影響が起こります。

どういう人が不足しやすいのか、まずはその特徴を見ておきましょう。

肝臓や腎臓で合成されるカルニチンは、上でも書いたように骨格筋や心筋に多く存在します。
そのため、骨格筋量が少ない乳幼児や女性、高齢者などでは、不足しがちな傾向にあるといわれています。

またカルニチンは日常的な食事でも十分に摂取できるんですけど、食生活が乱れている人とか、赤身肉などの摂取が不足している人は不足しやすいです。

カルニチンを合成するためにはビタミンCも必要なので、野菜や果物をあまり食べない人もカルニチンが不足する可能性があります。

さらには、腎臓機能障害や遺伝性疾患を抱えている場合は、健康な人に比べてカルニチンが不足する傾向にあるともいわれています。

ただし、健康な人は1日に必要なカルニチンを肝臓や腎臓で合成できるので、基本的には食品やサプリメントで摂取する必要はないとされています。

どういう効果があるのか?

カルニチンが不足しているとうまく脂肪酸を代謝できず、代謝できなかった脂肪酸は体脂肪になってしまいます。

つまり逆にいうと、カルニチンが十分にあれば中性脂肪を効果的に燃焼させる(ダイエットする)ことができるので、皮下脂肪として蓄積することを防げます。

さらにや内臓脂肪の蓄積を軽減する効果も期待できるため、脂肪肝の改善や肝硬変、肝がんなどの発症リスクも抑えられるともいわれています。

カルニチンの効果で余分な脂肪の蓄積を防ぐと、中性脂肪や悪玉コレステロールを抑えられるので、さまざまな生活習慣病の予防にも効果的です。

またカルニチンには血糖値を下げる効果もあり、糖尿病などの予防にも効果が期待できます。

カルニチンのダイエット効果を高めるコツ

さて、問題のダイエットです。

ここではカルニチンによるダイエット効果を高めるためのコツをいくつか紹介します。

ビタミンB6や鉄には、カルニチンの生成を促進する働きがあります。
ですから脂肪の燃焼を促すためには、カルニチンだけでなくこれらの栄養素を摂る必要があります。

ビタミンB6は、補酵素として多くのアミノ酸の代謝を助けていますし、免疫機能の維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの作用もあり、そして脂質の代謝にも関与しています。

ビタミンB6を多く含む食品は、赤身肉・鶏肉・マグロ・バナナなどで、鉄を多く含む食品はレバー・赤身肉・しじみ・ほうれん草などです。

ダイエットのときにただ何となく食べる量を減らしたりすると、かえって代謝が落ちてしまい、体重が落ちにくくなったり、リバウンドしやすいカラダになってしまいますので、これらの脂肪を燃焼させるのに必要な栄養素をしっかり摂るようにするべきです。

もうひとつは、筋トレです。

筋トレをすると筋肉を動かすためにエネルギーがつくられるので、脂肪燃焼が促進され、より痩せやすくなります。
また、筋トレをすることで筋肉量が増えると、代謝がアップして消費エネルギーも増えます。

もちろん、摂取エネルギーと消費エネルギーの関係だけで体重の変化が決まるわけではないのは(これを信じている人がほとんどなのは残念すぎますが)当然のことです。

そんなことを言ったら、摂取カロリーより消費カロリーが多い状態が続いたら、最後は0(ゼロ)になっちゃいますもんね(笑)

タイミングとしては、筋トレを行う30〜60分前にサプリでカルニチンを摂取すると効果的だといわれています。

サプリメントで摂るなら…

サプリメントの種類には、L-カルニチンアセチルL-カルニチンというのがあります。
アセチルL-カルニチンのほうが小腸からの吸収がよく、しかも血液脳関門を効率よく通過する(脳まで届く)といわれているので、オススメです。

最後に注意すべき点について。

厚生労働省は、健康な人は1日に必要なカルニチン量を体内で合成できるため、食事やサプリメントから摂取する必要はないとしています。

アメリカの食品栄養委員会でも、カルニチンは必須栄養素ではないとしていて、特に推奨摂取量を定めていません。

ただし、過剰なカルニチン摂取を防ぐために、1日の摂取上限は1,000mgと定められています。
普通の食生活でカルニチンを1日1,000mg以上摂取することはまずありませんが、サプリメントで摂取している場合は上限を超えないよう注意しましょう。

サプリは効率化の道具です。
ですから、摂取すべき適切な量を知って使いたいですね。

今回は以上になります。

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