生活習慣とアルツハイマー病

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

先日、こんな記事を読みました。
原題は”Lifestyle Changes May Slow or Prevent Alzheimer’s in People at High Risk”です。

要するに、「生活習慣の改善がリスクの高い人のアルツハイマー病の進行の抑制や予防に役立つ」という内容でした。

これってじつは、アルツハイマー病に限らない話ですよね。
ということで、今回は様々な慢性疾患に共通する生活習慣の改善方法についてこの記事を元に考えてみます。

生活習慣の改善でアルツハイマー病対策

もうこの少し詳しく記事の内容を紹介しましょう。

食事や運動などの健康的な生活習慣を組み合わせて取り入れることで、軽度認知障害(MCI)や初期の認知症患者の認知機能を維持することに役立つことが、米国の予防医学研究所所長のディーン・オーニッシュ(Dean Ornish)博士らの実施したランダム化比較試験(RCT)で示された、というもの。

対象患者は45~90歳(平均年齢は73.5歳)で、MCIまたはアルツハイマー病による早期認知症がある51人の患者が登録され、20週間の間、プログラムが実施されました。

患者は健康的な食事、定期的な運動、ストレスマネジメントなどを組み合わせた生活習慣改善プログラムを受けた群(26名)と、生活習慣の改善をまったく行わなかった群(25名)に分けられます。

結果としては、改善プログラムを受けた患者群の約71%で認知症の症状が安定するかまたは薬剤を使わずに改善したとのこと。

これに対し、生活習慣の改善を行わなかった対照群では、約68%の患者で症状の悪化がみられたそうです。

さらには、患者は健康的なライフスタイルを採用してから20週間以内に、認知症の症状が安定または改善したことと、このプログラムを続けるほど改善状態はより良いものになったということも報告されています。

脳機能とタンパク質アミロイドのようなアルツハイマー病の血液ベースのバイオマーカーの両方において、有意な差を示しているということです。

まあ結果は予想どおりですけど、もっともなりたくない病気で上位にランクされる認知症の進行が止まったり改善に向かうのであれば、評価したいですよね。

次に、それが具体的にどんなプログラムなのかを見ていきましょう。

どんなプログラムなのか?

このRCTの生活習慣改善プログラムは、以下の4つの要素で構成されていました。

1)有害な脂質や精製された穀類、アルコール、甘味料の摂取を控えホールフード(加工や精製をしていないか極力抑えた野菜や果物、穀類、魚など)と植物性食品を中心とした食事の摂取

2)低強度の筋トレを週に3回以上有酸素運動を1日に30分以上実施

3)瞑想やストレッチ、呼吸法などによるストレスマネジメントを1日1時間実施

4)患者とそのパートナーのためのサポートグループの1時間の活動を週3回実施

4)の補足説明としては、参加者とその配偶者またパートナーは、精神的サポートとコミュニティ強化、コミュニケーションスキルとプログラムの遵守を維持する目的で、支援的で安全な環境の中で資格を持ったメンタルヘルス専門家の監督の下、1セッションあたり1時間、週3日のサポートグループに参加するというものです。

興味のある方は、論文の詳細をこちらからご覧ください。

これ自体は実施するのがかなり大変なプログラムですね。

まぁ、このプログラムの内容がすべて良いとは言えませんが、食事(特にここが手厚い感じです)、運動、ストレスケア、メンタルサポートの4つの要素が基本的に大事なのは確かなことですね。

そしてこれらを俯瞰的に見てみると、アルツハイマー病に特化したものではなくて、現代病と言ってもいい様々な慢性疾患に関しては、このような生活習慣の改善をしないことには治療も予防もありえない、ということは言えます。

生活習慣改善のキモは?

そして生活習慣の中心はやはり、なんですね。
4つの要素のなかで、もっともプログラムの内容が細かいのが食事です。

具体的なことでいえば、「有害な脂質」については、トランス脂肪酸を摂らないことやサラダ油系を控えることになります。

穀類はなるべく精製されたものは控えた方がいいし、アルコールは肝臓の解毒に負担をかけるのでこれも過度にならないことが大事です。

また、甘味料も含めて単純糖質を控えるべき理由は、いつも書いているとおりです。

アルツハイマー病に限らず、慢性疾患を治したり予防したりしたければ、このような方向性で食事を変えることから始めるべきです。

そして、このRCTプログラムでは補いきれていない大事な部分が、個別性への対応です。

人はそれぞれ遺伝的な素因も不足している栄養素も、はたまた消化吸収能力も違うわけで、それぞれの原因に応じた個別性に対処しなければ、しっかりと効果を出し切ることはできません。

栄養素という意味では、摂っていなければ摂るようアドバイスをし、摂ってるのに消耗していればその原因を取り除くべきで、摂ってるけど消化できない場合の対処方法も、原因を特定しなければアドバイスに繋げられません。

そう考えると、自分がいままでやってきたことは正しかったんだと、いまさらながら自信を深めています。

ということで、引き続き僕のブログをしっかり読むと、慢性疾患にならないための生活習慣の改善のヒントが得らるはずという結論で(笑)、今回の記事は終了します。

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