「老化と栄養の関係」とその解決策

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

日本老年学会が6月13日に高齢者を75歳以上と定義しました

理由として挙げているのが、平均余命が伸びていること、日本人高齢者の若返りが見られること、国民の意識の変化などです。

今回の報告書では「あくまで医学的な立場から検証した」としていて、65〜74歳は准高齢者、90歳以上は超高齢者と呼ぶそうです。

暦年齢で定義するのはいいんですけど、歳を取れば取るほど個人差が広がっていきますよね。
60歳を超えてくるあたりでは、もはや同じ年齢と思えないほどの差が出てきてしまうのはなぜなのか?

ということで、今回はエイジングについて分子栄養学的に考えてみます。

老化の特徴

先日、こんな論文を読みました。
タイトルは「Hallmarks of aging: An expanding universe」(老化の特徴:広がる宇宙 2023年)で、なかなかに面白い内容でした。

下記が本研究で提唱された「老化の12の特徴」です。

ちょっと難しくて何を言っているのかわからないことも含まれていますし、僕がこれまでよく書いてきた健康のために大事だと思う内容も含まれています。

1.遺伝子の不安定性
2.テロメア(細胞の寿命に関わる染色体の末端部にある構造)の減少
3.エピジェネティクスの変化
4.プロテオスタシス(タンパク質の恒常性)の喪失
5.オートファジー(タンパク質のリサイクル)の障害
6.栄養感知のコントロール低下
7.ミトコンドリアの機能障害
8.細胞の老化
9.幹細胞の疲弊
10.細胞間コミュニケーションの乱れ
11.慢性炎症
12.ディスバイオシス(腸内細菌の乱れ)

Screenshot

これらの特徴は、一次的(1〜5)、拮抗的(6〜8)、統合的(9〜12)の3つのカテゴリーに分類されるとしています。

ひとつずつ詳しく見ていくと面白いんですけど、これではちょっと難しすぎる感じなので、このブログ記事ではこのなかで最も分子栄養学に関係ありそうな「栄養感知のコントロール低下」について取り上げてみたいと思います。

「栄養感知のコントロール低下」とは?

英語のタイトルは「Deregulated nutrient-sensing」となっています。
簡単に言うと、「細胞が栄養を感知する能力が落ちてしまうということ」。

本来、生物は自分にとって必要な栄養を感知して、必要に応じて適度の栄養を取り込むことができるようになっているんです。
これに関しては、複数の感知システムが備わっていると考えられています。

以前に書いた「タンパク質量が食欲を決める」というのも、そのひとつと考えていいかもしれません。

ところがこのシステムが壊れてしまうと、本当はカラダにとって不要なものを必要以上に食べてしまうというような行動を止められなくなってしまいます。

例えば、甘い物がカラダに良くないと分かっているのに、どうやっても食べるのを止められなくなってしまう、というようなことですね。
こういう人って、結構、僕の患者さんにもいます。

視床下部が食欲をコントロールしているわけですけど、栄養を感知するシステムが異常をきたすと、必要としていないのに「たくさん食べちゃえ!」というようなシグナルを送ってしまうんですね。

そうすると、結果的に老化にともなう肥満とか糖尿病といった代謝性の疾患を発症することになるわけです。

これらの疾患の発症によって、さらに栄養の感知システムを撹乱することになって、負のフィードバックがかかることにもなります。

もちろん食べ過ぎてしまうだけでなく、必要なものを食べないということも当然起こることになります。

何となく「今日は無性に焼肉が食べたい」だとか、「どうにも野菜が食べたくなった」なんてことありませんか?

これってカラダの栄養感知システムから出てくる欲求で、つまりこれが「カラダの声」と言えるのかもしれません。

この食や栄養に関する感知能力が、老化に伴って低下するということなんです。
ということは栄養素の過不足が起こりやすくなるわけですから、これはなるべく早く何とかしたいものです。

ではどうすればいいのか?

老化の特徴のひとつとして「栄養感知能力が低下する」ということはわかりましたが、ではどうすればこれを改善できるのかが問題ですね。

最近の話題で言えば、「レスベラトロール」です。
これ知ってますか?

レスベラトロールは、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。

まずポリフェノールについてですが、 ほとんどの植物に含まれている色素や苦味の成分で、5,000種以上あるといわれています。

抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があって、動脈硬化など生活習慣病の予防にも役立ちます。

レスベラトロールは、食品では赤ワインに多く含まれている成分です。
あとは黒ぶどうの種や皮やピーナッツの薄皮、ココアパウダーなどにも含まれています。

このレスベラトロールが栄養感知能力を上げるといわれています。

その他の効果としては、カロリー制限をすると活性化する長寿遺伝子(SIRT1)のスイッチをオンにする働きがあるとも言われています。

長生きにかなり関わっていそうなので、今までどおり夕飯時のワインは欠かさないようにしようと決心しました(笑)

いやいや、これを取れば健康になる系だけではダメですね。

特定の栄養素を摂る以外にも、この栄養感知システムを上げる方法があります。
それが定期的なファスティング(断食)です。

なにも何日も水だけで過ごさなきゃいけないわけではありません。
最近、効果が実証されてきているファスティングの方法は、間欠的ファスティングです。

例えばいちばん簡単なものだと、夕食を食べてから寝るまで3時間以上時間を空け、翌日の最初の食事までは夕食から最低でも12時間以上空けるというもの。

「アルツハイマー病は治せる」と言っている『アルツハイマー病の真実と終焉』の著者であるデール・プレデセン先生の推奨する「ケトフレックス12/3」のやり方です。

僕自身のことを言えば、ファスティングはよくやります(笑)

皆さんが想像しているような「お腹が空いてつらい」といったことはほとんどなくて、ファスティングをしている最中でもテニスはやるし、ゴルフのラウンドもジョギングもできるし、頭が冴えるので仕事が捗ります。

だって、たくさん食べると頭がボーッとするし、動きたくなくなったりしませんか?
僕はセミナーなどで話す前は、頭が働かなくなるので基本的に物は食べません。

皆さんも、是非一度試してみてください。
そのうち、ファスティングについてもブログを書こうと思っています。

今回はこの辺で。

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