対談シリーズ第2弾〜鍼灸教育に分子栄養学をどう活かすか?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。
今回は対談シリーズの第2弾です。

3/20にIGL国際医療専門学校の同窓会で分子栄養学の話を4時間させてもらったんですけど、そのときに広島に伺って、この講演を企画してくれた東京衛生学園の教員時代の元教え子でもある上垣内先生にお話を伺ったものです。

上垣内先生は現在、IGL国際医療専門学校の鍼灸科教務主任として活躍されています。
今回は分子栄養学を学んでいる鍼灸学校の先生との対談という内容になっています。

先生のご略歴は以下のとおりです。
上垣内敬司 先生

早稲田大学人間科学学部スポーツ科学学科卒
東京衛生学園専門学校東洋医療総合学科卒
東京衛生学園専門学校臨床教育専攻科卒
東京衛生学園専門学校、IGL医療福祉専門学校、日本医学柔整鍼灸専門学校非常勤講師を経て、現在はIGL医療福祉専門学校専任教員

分子栄養学を学び始めたキッカケ

島田:上垣内先生は専任の教員ですよね。

上垣内先生:はい、そうです。

島田:いまはどんな科目を教えているんですか?

上垣内先生:鍼灸の基礎実技と、中医学の弁証から配穴までを症例から導き出せるようにする授業と、臨床医学各論です。臨床医学各論はずっと教えてきたので、自分の中の核になっています。

島田:治療はどこで?

上垣内先生:学校の附属施設と往診、それから家内の治療院です。
臨床教育を教えている間は、治療していなきゃいけないという誓いを立てているので…。

島田:「こうやれば治るはず」っていう理論だけの話はつまらないですからね。

上垣内先生:そうなんです。学生時代に臨床をしていない先生のなんちゃって臨床話ほどつまらないものはなかったですから。

島田:逆にこうやったけど治らなかったのはこういう理由からかな? みたいな話の方が役に立つんですよね。

上垣内先生:そのとおりです。

島田:上垣内先生が分子栄養学を学び始めたキッカケは何でしたっけ?

上垣内先生:島田先生が東京衛生学園の同窓会でやっていただいた特別講演です。

島田:あぁ、そうでしたっけ?

上垣内先生:じつは患者さんの食事指導について悩んでいて、患者さんに「バランスの良い食事を摂ってください」と言っても、具体的にどういう食事かを言えなかったんです。
これじゃマズいと思っていたので、いろいろと調べて分子栄養学の名前は知っていたんですけど、医者向けのセミナーとかはハードルが高いし、受講料に見合っているのかなぁとか考えて悩んでいたので…。

島田:なるほど、それで僕のWeb講演を受けてくれたんですね。

上垣内先生:これは受けなきゃと思って受講したらめちゃめちゃ面白かったんで、すぐに先生のセミナーに申し込みました。

島田:それはありがとうございます(笑)

学校での教育と臨床

島田:ところで、学校での授業には活きていますか?

上垣内先生:例えば今日の講演で話されていたASTとALTの話とかですね。 普通は肝機能の指標としてみますけど、これが酵素だという視点は普通はありませんからね。

島田:なるほど。

上垣内先生:標治とか本治とかが現代医学にもあるとすれば、分子栄養学は本治になると思います。
鍼灸師はこういう考え方に一度は触れておくべきだと思うんですよね。

島田:そのとおりですね。 でも鍼灸でも標治ばっかりの治療をしている治療家もいますよね。

上垣内先生:そうですね。 例えば腰痛の治療で局所の腰にしか目がいかないことが多いんですよね。
でも臨床を10年近くやっていて思うのは、腰痛の原因が腰にある場合ってほとんどないんですよ。
機能解剖学的にみたら、大腰筋とかいろいろなところが問題だったりします。
そういう話を学生にするんですけど、今日のお話にあったようにタンパク質不足とかそういう視点が入ってくると、学生の見方も違ってくるし、勉強するキッカケとかが増えてくると思うんです。

島田:いいですね。

上垣内先生:学生によく言うんですけど、私が学生時代に学んでおけば良かったランキングのトップ2は、分子栄養学と機能解剖学なんです。

島田:ほー、それは嬉しいですね。

鍼灸教育に携わる教員にこそ学んでほしい

島田:分子栄養学を学ぶのに生理学とか生化学は大事ですよね。

上垣内先生:そうですね。 分子栄養学を学ぶと、生理学とかが「実はこういうところと繋がるのか」という感じで新たな発見がいろいろとあります。
今日の講演でもそういうところが刺激になったのか、いつもと違って学生がとても真剣に学んでいて、軽く嫉妬を覚えました(笑)

島田:またまたー。

上垣内先生:学生って、教えてくれる先生にすごく影響を受けると思うんです。
だから教員はたくさん勉強するべきですよね。
私はいつも学生に鍼灸の可能性を伝えたいと思っているんです。
そういう意味でも、分子栄養学を学んで良かったです。 全国の鍼灸教育に携わっている教員にも、ぜひ分子栄養学を学んでほしいですね。

島田:そうですね。教員が学ぶと変わる部分がいろいろとあるでしょうね。 例えば生理学の面白さとか役に立つポイントが伝わるはずですもんね。

最後は養生に行き着く?

島田:本治という意味では、鍼灸治療が本当に本治になっているのかどうか疑問に思ったりするんですけど、そのあたりはどう思いますか?

上垣内先生:よくいろいろな流派の名人とか大家の先生の講演などに行くんですけど、「最終的には鍼じゃないんだと」とかいう先生が意外といて、「えー」と思ったりしていました。

島田:なるほど。

上垣内先生:ですけどいまなら、島田先生が食事に行かれた理由がわかる気がします。
先生は古典だけで全部やっちゃうのかと思ってたんですけど…(笑)

島田:じつは僕も、患者さんへの食事指導のことでずっとモヤモヤしてたんで。

上垣内先生:そうなんですね。私もいつかは古典を学びたいと思っているんですけど…。
それにしても先生が分子栄養学って、ちょっと驚きました。

島田:そうですか。 でも食事が変わらなくて本当に本治って言えるのかなって思いますよね。
ぎっくり腰を栄養を使ってその場では治せないけど、治療で痛みを取った後の食事の指導が再発をしないためには大事なんですよね。

上垣内先生:そのとおりだと思います。

食事は難しい

島田:分子栄養学を使って患者さんへのアドバイスをするようになって、食事って難しいなって思うんですけど、どうですか?

上垣内先生:それはもうそのとおりです。
私は東京と広島を往復して教えていたんですけど、借りていた部屋に買った炊飯器を9年間に一度も使わなかったんです。
うちの家内は、私には袋麺すら作れないと思っていますから(笑)

島田:なるほど、僕も似たようなものです。
鍼灸治療を受けにくる人はナチュラル系の人が多いので、初めからサプリは勧めない方が良かったりしますね。

上垣内先生:そうですね。でも、料理ができないと食事のアドバイスは難しいですよね。

島田:そうですねぇ、じゃあこんど調理実習の合宿でもやりましょうか?

上垣内先生:良いですね、ZOOMで参加します(笑)

島田:いやいや、実習だからリアル参加してください。

御多分に洩れず、話が終わった後は広島の夜を一緒に満喫させていただきました。
お話をさせていただいて、上垣内先生はとても真剣に学生と向き合っている先生だという印象を受けました。 こんな先生に学べる学生さんは幸せですね。

この対談ブログを読んでいただいて、分子栄養学に興味を持つ鍼灸学校の先生や学生さんが増えてくれることを願ってやみません。

今回はこの辺りで。

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