いつも読んでいただいてありがとうございます。
ところで、あなたはお酒は好きですか?
僕は好きです(笑)
前々回の「肌を老化させる要因」で、アルコールも肌を老化させる原因になると書きましたが、もちろんご存知のようにアルコールの害は肌の老化だけにとどまりません。
好きなだけにあまり書きたくないのですが、今回はアルコールの栄養上のデメリットについてのお話です。
「いや、私は害のことなど考えずに、ひたすらお酒を楽しみたいんだ」という方は、絶対に読まないでください(笑)
飲酒ガイドラインについて
厚生労働省は2024年2月19日に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。
これはアルコール健康障害対策基本法(2013)にもとづいて、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及・推進を図るために、状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動の判断に資することを目的としたもの、とのことです。
とても分かりやすく、いろいろな情報も載っているので、一度読んでみるといいかもしれません。
このブログでも参考にさせてもらっています。
飲酒量を判定するのに、純アルコール量を算出する方法が使われています。
ガイドラインに載っている具体例を挙げておきますね。
摂取量(ml) × アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコール比重)
※ 例::ビール 500ml(5%)の場合の純アルコール量 500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)
アルコール度数が5%のビール500mlの純アルコール量は20gになるということですね。
ちなみに、「我が国における疾病別の発症リスクと飲酒量」の表を見てみましょう。
※ 印は現在研究中のもの。
数値は基本的に日本人に対する研究の内容が示されています。
例えば大腸がんの場合は、1日当たり20g(週150g)以上の飲酒を続けると発症リスクが上がるといった研究結果が示されています。
ちなみに、0g<とあるのは、飲むだけでリスクがあるという意味ですね。
ついでに「海外のガイドラインに記載のある飲酒量」の表についても載せておきます。
国によってかなり開きがあるのが分かりますね。
オーストラリは厳しいですけど、本当に守られているのかちょっと疑問です。
ガイドラインでは示している「健康に配慮した飲酒のしかた」については、下記の5つです。
- 自らの飲酒状況等を把握する
- あらかじめ量を決めて飲酒をする
- 飲酒前または飲酒中に食事をとる
- 飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする
- 一週間のうち、飲酒をしない日を設ける
なるほどね。
私もたまに、自分がアルコール中毒ではないということを確認するために、3日間ぐらい連続して飲まない日を設けたりしていますが、いまのところアルコールへの渇望は起こってはいません(笑)
アルーコールによるカラダへの影響
次に、アルコールによるカラダへの影響について見ていきます。
アルコールの代謝はシンプルに書くとこんな感じです。
エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸 → 炭酸ガス+水
飲んだお酒に含まれているアルコール(エタノール)の大部分は、小腸から吸収されて、血液を介して全身を巡り、肝臓で分解されます。
エタノールの分解には、体内の分解酵素がいろいろと関わっています。
この酵素の働きが弱いと少量の飲酒で体調が悪くなったりするんですけど、日本人は分解酵素の働きが弱い人が多いとされています。
肝臓で分解されたアルコールは、さらに酢酸へと分解され、これが筋肉や心臓に移動してさらに分解されて、最終的には炭酸ガスと水になります。
アルコールは血液を通じて全身を巡るため、全身の臓器に影響を与えて、場合によっては臓器に障害(病気)が生じます。
飲酒による影響には年齢、性別、体質の違いなどによって個人差があります。
主な要因として、以下のようなものがあります。
- 年齢による影響
高齢者は、体内の水分量の減少などの影響で、同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症リスクが高まる可能性があります。
逆に20代などの若年者では、多量の飲酒で脳の発達に支障が出て、脳の機能低下につながるリスクが高まる可能性が指摘されています。
- 性別による影響
女性は男性より水分量が少ないことやアルコールの分解能力が低いこと、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンなどの働きによって、アルコールの影響を受けやすいといわれています。
このため、女性は男性に比べてアルコール性の肝障害を起こしやすいようです。
- 体質による影響
アルコールを分解する体内の分解酵素のはたらきは、個人によって大きく違います。
分解酵素のはたらきが弱いと、飲酒によって顔が赤くなったり、動悸や吐き気がするなどのフラッシング反応が起こります。
分解酵素のはたらきは、遺伝子によるものといわれていますが、ある程度定期的に飲酒することによってお酒に強くなることもまた、生化学的には説明ができます。
ただ、時間をかけて不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口腔内のがんや食道がんなどのリスクが非常に高くなるといったデータもあるので、注意が必要ですね。
栄養面での影響について
栄養面ではこのアルコールの解毒代謝の過程で、次のようなカラダへの影響が起こります。
結構多いので、箇条書きにしてみます。
- 亜鉛を消費する
- マグネシウムを尿へ排泄する
- ビタミンAの代謝を阻害する
- ナイアシン(ビタミンB3)を消費する
- チアミン(ビタミンB1)の吸収・貯蔵・活性化・排泄に影響を与える
- 葉酸の吸収・輸送・貯蔵・放出を妨げる
- ビタミンB12レベルに影響する
注意しておきたいのは、基本的に害ばかりだということです。
かなり様々な栄養素が失われたり代謝を阻害されたりすることがわかります。
もちろん楽しい仲間と飲むお酒のメリットは重々承知の上の暴言(のようなもの)ですけど…。
失われる栄養素について
飲酒によって問題となる栄養素について、簡単に触れておきましょう。
まず亜鉛です。
亜鉛欠乏は、アルコールの摂取量が多い人で頻繁に観察されます。
目や鼻、口の周りなどにみられる隆起したかさぶた状の皮膚病変が代表的なものです。
これはアルコール依存症の症状としてとても有名ですね。
日本臨床栄養学会が2018年に作成した亜鉛欠乏症の診療指針に示された臨床症状には「皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡(難治性)、食欲低下、発育障害(小児で体重増加不良、低身長)、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊症」が挙げられています。
亜鉛は細胞分裂に必要な栄養素なので、成長期に特に不足しがちです。
さらにいうと、銅とのバランスが大事なのですが、亜鉛が不足することで銅過剰の状態になるので、イライラしやすくなったりします。
気をつけましょう!
次にマグネシウム。
アルコールはマグネシウムの尿への排泄に強力に作用し、またアルコール飲料の慢性摂取とその依存症により、マグネシウムの体内貯蔵が枯渇するとの報告があります。
いつも書いているとおり、マグネシウムは日本人のほとんどが不足している大事なミネラルです。
高血圧や前回書いたまぶたのピクピク、あるいは筋肉の緊張・こりなどが強い人は、マグネシウムが不足している可能性が高いと考えられます。
普段から不足気味なのに、さらに排泄されないようにしたいものですね。
そして最後は、チアミン(ビタミンB1)。
アルコールはチアミン濃度を急速に低下させることがわかっています。
その理由としては、飲酒がチアミンの吸収、貯蔵、活性化、排泄に影響を与えるからだとされています。
チアミンは不足すると脚気になることで有名ですが、不足することで食欲不振、倦怠感、頭痛なども起こる可能性があります。
では、そうしたらいいのか?
日本では以前から、お酒を通したコミュニケーションを重視する傾向がありました。
そういう意味で、飲酒に対して甘い国なのかもしれません。
ですが、栄養面でのマイナスを考えると、過度の飲酒は控えたいかなぁと私ですら思います。
お酒を飲まなくてもコミュニケーションは取れますから(笑)
そういう意味で対策は大きく2つです。
1つは、飲まない。
簡単そうで難しいですが…。
もうひとつは、飲む前に必要な栄養を摂取する。
そこまでして飲むべきかどうか悩みますが、どうしても飲まなければならないようなときには、サプリで事前に摂っておくというのはひとつの手ですね。
以上、アルコールの害についてでした。
今回はこの辺で。
もし分子栄養学に興味を持ったら、下のボタンをクリックして私のセミナーの詳細を見てみてください。