皮膚を老化させる要因

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

突然ですが、人は必ず老います。
そして老いることで見た目が変化し、シワやシミが増えていきます。

今年から実年齢では高齢者の仲間入りをする私ですが、最近では「良い老い方をしたいなぁ」と思っています。

もちろん顔の形や目鼻の並びは変えられないですけど(笑)、皮膚の状態というのは栄養である程度コントロールできるんです。

皮膚の状態が良いと、年寄り臭さが少しは減る気がします。
上からいろいろと塗ったりするよりも、身体の内側からのケアが大事です。

今回は、そんな皮膚の老化の原因と対策についてまとめてみました。

皮膚が老化する原因は糖化

皮膚が老化するいちばんの原因はコラーゲンの糖化です。
糖化というのはコラゲーンと糖がくっついてしまうということで、簡単にいうとコゲですね。

糖は一度タンパク質とくっつくと、なかなか離れなくなります。
もちろんコラーゲンもタンパク質でできていて、身体のタンパク質の約3分の1を占めています。

パンを焼くとこんがりと美味しそうなキツネ色になりますよね。
あれが糖化反応(メーラード反応)で、それによってAGEsができた状態です。

白くてフワフワしてたパンが、カサカサでもろくなります。
これが皮膚で起きたらと思うと、ゾッとしませんか?

AGEs(Advanced Glycation End Products)とは、「終末糖化産物」のこと。
タンパク質と糖が結びつく糖化によってつくられて、元に戻ることのない最終的な生成物です。

この反応は加熱によって促進されます。
そしてAGEsはタンパク質を変性・劣化させ、本来の働きを失わせます。

たとえば肌のコラーゲンが糖化しAGEsが増えると、茶色いシミやシワ、たるみなどの原因になります。

血管のコラーゲンが糖化すると動脈硬化になるし、骨のコラーゲンが糖化すると骨粗鬆症に、目の水晶体にあるクリスタリンが糖化すると白内障になるリスクが高まるんです。

糖尿病の指標として使われる血液データにHbA1cというのがありましたね。
ヘモグロビンと糖がくっついたものが全体の何%を占めているのかをみているもので、これも糖化の指標です。

一度結合したものはそのまま離れなくなる(HbA1c自体の半減期は約30日)ので、大まかに採血前1〜2カ月の血糖値の平均的な状態を反映していると考えられています。

だから前日とか当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けないんです。
HbA1cの数値を見れば、その人の糖化の具合がある程度はわかることになりますね。

話を元に戻しましょう。

肌のハリややわらかさを保っているのは、コラーゲンなどのタンパク質です。

糖化するとコラーゲン繊維の間に糖化による異常な橋渡し構造がつくられ、劣化して柔軟性が失われて固くなることで、肌のハリが失われたり肌が黄色く見えたりするようになります。

糖化コラーゲンは1年で約3.7%蓄積するという報告があります。
加齢とともに糖化が進むので、80歳では約30〜50%増加するともいわれます。

一度糖化した肌や細胞は元には戻らないことが多いため、日常的に糖化しないための食生活や生活習慣を心がける必要があるというわけです。

栄養学的にみた糖化の原因

糖化を起こすのは、食事や喫煙などの環境要因がその主なものです。
食事を除くと、タバコや紫外線が問題になります。

ビタミンDをつくるためには、日光に適度に(30〜60分程度)当たることはとても大切なことですけど、それ以上になると紫外線の影響でAGEsがつくられてしまいます。

喫煙も健康のためにはやめた方がいいのはいうまでもありません。
女性の顔の皮膚の老化原因でもっとも影響を与えるのはタバコとアルコールだとの報告があります。

さてここからは、栄養学的にみて糖化を起こし、ひいては皮膚の老化につながるものをあげてみましょう。

①砂糖・果糖ブドウ糖液糖

砂糖は、皮膚のコラーゲンやエラスチンに存在するアミノ酸を糖化させ、最終的にAGEsを生成します。

特に悪いのは果糖ブドウ糖液糖です。
これは砂糖より安価な甘味料なので、加工食品にはよく使われていますので、注意が必要です。

②悪い油

悪い油にはいくつか種類があります。

まずひとつめが揚げ油
基本的に油を加熱すると酸化し、その結果としてヒドロキシノネナールや過酸化脂質という有害な物質が発生します。

この酸化した油に含まれる有害物質は、下痢や嘔吐、腹痛、頭痛などの原因となることがあります。
また、体内に蓄積してガンや動脈硬化、認知症などの生活習慣病を引き起こす原因になるともいわれています。

次にトランス脂肪酸
これは植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造するときや、植物油を高温にしたときに生じます。

基本的に日本以外の先進国では表示義務があるか使用を禁止しているんですけど、日本では表示義務すらないので、加工品には含まれている可能性が高いので注意しましょう。

最後にオメガ6系の油
この油の代表はサラダ油です。

よく書いているカラダに悪く生活習慣病などを引き起こす原因になるとされている慢性炎症を増長させるというのが理由です。

これをオメガ3系の油(アマニ油やエゴマ油)に置き換えましょう。
これらの油は加熱調理に向かない酸化しやすい油なので、自動的に揚げるとか炒めるという調理法を使わない方向にシフトするということになります。

どうしても加熱調理に使いたいのなら、オリーブオイルか米油にしましょう。

③アルコール

上で糖とタンパク質が結合してAGEsを生成すると書きましたが、実はその生成過程で中間生成物としてアルデヒドが生成されることがわかっています。

つまり、糖化のプロセスでは糖からアルデヒドが生成され、それがタンパク質と結びつくことで、AGEsの生成が進むんです。
糖化という反応自体にアルデヒドが深く関わっているということですね。

アルコールが体内で分解されて生じたアセトアルデヒドも、同じようにタンパク質と結合してアセトアルデヒド由来のAGEsができます。
つまり、アセトアルデヒドにはAGEsの生成を促進してしまう作用があるんです。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドの分解能力が低いので、体内でアセトアルデヒドにさらされる時間が長くなります。

そのため赤くならない人に比べて、AGEsの生成が促進されやすくなり、体内のたんぱく質の変性が進んで、老化やさまざまな疾患のリスクが高まってしまうんですね。

もちろん、肝機能が弱っていたり、過度の飲酒によっても同様のことが起こるので、飲酒で顔が赤くならないから安心というわけではありません。

糖化対策の生活習慣アドバイス

最後に、肌の糖化を防ぐ方法についてみていきましょう。

急激な血糖値の上昇や高血糖を防ぐ

血糖値を急激に上げるものを摂ると、糖化しやすくなるのはわかりますね。
甘い飲み物やスイーツ類はお肌の老化対策には厳禁です。

紫外線対策をおこなう

日光浴は大事ですが、紫外線は浴びすぎないこともお肌のためには大事です。

睡眠習慣を見直す

肌の抗糖化には毎日最低でも6時間以上の睡眠を確保することが大切だといわれています。

そして、よく眠るために必要だとされる催眠ホルモンのメラトニンは、活性酸素を除去する非常に高い抗酸化作用があることが報告されています。

このメラトニン、免疫機能を高める作用や血中のコレステロールを減らすなど、糖化の抑制には必須の物質です。

メラトニンの材料はタンパク質ですから、食事から適切な量のタンパク質を摂ることも大事です。

またメラトニンは、朝に日光を浴びるとその14〜16時間後に生成されることがわかっていますので、朝日をキチンと浴びて、朝食でタンパク質をしっかり摂りましょう!

メラトニン以外にも、睡眠時に分泌される成長ホルモン(成長期の子供だけでなく歳をとっても分泌されます)にはカラダ(もちろん皮膚も)を修復する作用があるので、なるべく早めに寝ることが大事です。

調理方法を工夫する

上に挙げた悪い油を摂らないためにも、揚げ物や炒め物は控えましょう
外食やコンビニが中心の人は、なるべくこういったものが含まれているメニューや品物を選ばないことも大事です。

栄養バランスを考えた食事をする

一言でバランスといっても人それぞれですし、非常に難しいですよね。

いわゆる青物野菜や果物に多く含まれているビタミンCは、抗糖化に不可欠な栄養素です。
また、日本茶に含まれるカテキンには抗糖化作用がある上に、AGEsの生成を阻害する作用も見つかっています。

腸内環境を改善する納豆やみそなどの発酵食品も積極的に摂るとよいでしょう。

まとめ

ちょっと長くなったので、箇条書きのまとめを入れておきます。

  • 肌の老化の原因は、糖化によるAGEsの生成
  • 糖化はタンパク質と糖が結びついたコゲの状態
  • 糖化の原因になるのは砂糖、悪い油、アルコール
  • 糖化対策のメインは次の3つ
    • 急激な血糖値の上昇や高血糖を防ぐ
    • 適度な睡眠時間を確保する
    • 栄養バランスを考えた食事をする

今回は以上です。

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