じつは添加物より〇〇の方が問題

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

食べ物を選ぶときに、添加物って気になりますよね?
でもそれよりもっと大事で根本的な問題があるんです。

今回はそんなお話です。

添加物より気にすべきこと

鍼灸治療を受診する患者さんには、ナチュラル系の人が多いです。
鍼灸師にももちろん多い印象ですね。

だから、分子栄養学で栄養アドバイスをしても、「サプリはちょっと〜」と言う人が結構多いんです。

これはOKです。
もちろんサプリより食事の方が大事ですから。

ただ、食べ物のお話をすると添加物のことをとても気にする人が多いのもあるあるです。
そういう人は、たいてい買い物中に加工食品の裏側の成分表示を穴があくほど見つめて、ため息をつきながら棚に戻したりしているはずです。

添加物はもちろん避けたいです。
でもそれよりもっと大事で気にすべきことがあるんです。

それはビタミン・ミネラル不足です。
そのことについて理由も含めて少し書いていきます。

添加物の影響

加工食品ジャーナリストの中戸川貢さんという人がいます。

もともと市民団体で栄養調査を担当していた方で、例えばコンビニ弁当にどんな栄養素がどのくらい含まれているかといったことを調べていたそうです。

その内容をもとに書かれた本が『新型栄養失調』です。
新型栄養失調(分子栄養学では質的栄養失調なんて呼んだりもします)という言葉を広めた本として有名な本です。

本書では、現代人はカロリーは足りているけどビタミン・ミネラルが不足していて、それを新型栄養失調と呼んでいます。

中戸川さんはその後独立されて、現在はセミナー・講演活動(今は年に120回くらいとおっしゃってます)や「週刊新潮」の連載記事「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」のネタ提供などをされています。

添加物についてとにかく詳しくて、しかも話にテンポがあって面白いんです。 是非ともYouTubeを検索して見てみてください。

その中戸川さんの最新刊は『ワースト添加物』です。
今回のブログは、この本と私が受けた中戸川さんの数回の講演内容などをもとに書いています。

いまの日本で、食品添加物を100%避けるのはほぼ不可能といっていいでしょう。
この本の中では、ある程度避けた方がいい添加物をランキングにしたりして紹介しています。

もちろん添加物は摂らないにこしたことはないんですけど、ビタミン・ミネラルが足りていれば、添加物の影響はそれほど大きくないんです。

そう、じつはここがポイントです。

ビタミンやミネラルは、厚労省が5年に1回まとめている「日本人の食事摂取基準」にも書かれているように、足りないとすぐに病気に直結します。

いままでの栄養学は、この欠乏症が中心になっていました。
例えばビタミンCでいえば、これが不足すると全身の血管から出血して最後には死に至る壊血病という病気になります。

そして中戸川さんが指摘しているように、スーパーやコンビニで買う加工品や外食などの食品の中身は、この最低限摂取すべき量をかなり下回っているというんです。

つまり、添加物なんかを気にするよりビタミン・ミネラル不足の方が健康にとってよっぽど重大だということです。

なぜビタミン・ミネラル不足がするのか?

ではなぜ日本人のビタミン・ミネラルがそんなに不足するのかについて見ていきましょう。

そのいちばんの原因は水煮野菜

「えっ、なに?」と思ったかもしれません。
最近はスーパーなどにもたくさん並ぶようになった水煮野菜、ご存じですか?

ちょっとネットで検索しても、山菜ミックス、簡単ベジ、和風野菜ミックス、豚汁の具、野菜炊き合わせ、水煮たけのこなどなどいくらでも出てきますね。

野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれていますが、これを煮てしまうと煮汁の方にほとんどの栄養が出てしまいます。

つまり栄養素がほとんど流れ出て、しかも見た目のために漂白されて色鮮やかな野菜なんですね。
これってキレイだけどほとんど中身のない野菜です。

コンビニ弁当をはじめ、ファミレスの付け合わせやサラダの野菜はほぼこれです。
弁当に入っているサラダなども、保存状態や見た目のために一度この処理をされているものばかりだそうです。

僕が聞いた講演のなかで中戸川さんが言っていたんですけど、ほとんどの栄養は水煮野菜工場の排水溝にいる細菌が摂っているんだ、と(笑)

人が食べる野菜の方には栄養はほとんど残っていないわけです。

街のレストランとかでも、以前は八百屋さんが野菜を毎日配達していたけれど、いまはネットで夜中に頼んで翌日にはこの水煮野菜が宅配されて、それを使っていることが多いんですって。

よく、いまの野菜は昔の野菜に比べて栄養素が減っていると言われますけど、それでも買ってきた野菜を自宅で調理すれば、ビタミン・ミネラル不足になることはないくらいの栄養素は十分含まれているようです。

中戸川さんが取り上げたすべての食品やメニューは、栄養成分分析にかけられたデータをもとにしているので、確かなことなんだと思います。

精製食品の増加

水煮野菜の他にも、中戸川さんが挙げているビタミン・ミネラルが不足する原因があります。

その2つ目が、精製食品の増加
そう言われると思い浮かべる人が多いと思われるのが、白米、精製小麦、上白糖、精製塩などでしょう。

だから玄米、全粒粉の小麦を使ったパンやパスタ、質の良い海の塩などを摂るようにしているって人も多いと思われます。

でも最近になっても精製食品は増えているんです。

そこで問題になるのは精製油と精製原材料(水、でんぷん、タンパク、増粘剤、精製油、リン酸塩など)で増量した食品で、これが結構見逃されているのが現状です。

油についてだけちょっと書いてみます。

油に含まれるミネラルは、保存や賞味期限などの関係上「不純物」と言われています。
つまりこれが含まれていると製品として色や匂い、沈殿物などの問題が起こりやすくなって製品の質を安定させるのが難しくなるわけです。
だから、食品会社としては除去したい。

ですがこの不純物(ミネラル類)が含まれていない油を使った揚げ物を食べると、胃もたれや胸焼けが起こりやすくなります

揚げ物を食べると胃もたれや胸焼けがする人は、栄養学的に素直に考えると、胆汁や消化酵素が少ないので脂質の吸収力が下がっていると考えがちですけど、じつはこういう理由も考えられるということなんです。

リン酸塩の弊害

さらにもうひとつだけ。
リン酸塩について。

添加物として広く使われているリン酸塩は、それ自体には毒性がないとされています。
これを添加することによる効果は、pH調整、カビ抑制、沈殿防止、濁り防止、変色防止、変質防止、鮮度保持、乾燥防止、決着力増強、保水性増加、風味向上など多岐に渡ります。

ハムやソーセージの結着剤、プロセスチーズの乳化剤、pH調整剤、酸味料など様々な形で使われていて、加工食品の食感や見た目、味を向上するなど、とても使い勝手が良い添加物のようです。

となるとほとんどの加工品に使用されていると考えていいでしょう。
また、原材料表示として「リン酸塩」と書かれていない場合が多いので、判断が難しいんです。

問題は何かというと、このリン酸塩にはミネラルと結合する性質があって、食事と一緒に摂取すると、本来は腸で吸収されるべき食事中の微量ミネラルとリン酸塩が結合して一緒に体外に排泄してしまうことで、有用なミネラルの体への吸収が阻害されてしまいます。

リン酸塩が多く含まれている食品を具体的に挙げておきましょう。
スナック菓子、カップ麺、レトルト食品、ファストフード、練り製品、食肉加工品、菓子パン、コンビニのおにぎりなどです。

買ってきた野菜を家で調理するだけで、これらのことは防げます。

ミネラルの吸収をアップさせるには?

添加物を気にするよりもビタミン・ミネラル不足の方が問題だということ、加工食品の問題点については分かってもらえたと思います。

「じゃあマルチミネラルをサプリで取ればいいんでしょ」と思ったあなた、ちょっと待ってください!

ミネラルはバランスと吸収効率がポイントです。 むやみにマルチのサプリで摂ると、かえってミネラル不足になることがあるので、この部分は栄養のことをよく理解している専門家に任せることをオススメします。

また、ミネラルはストレスでも消費されます
摂ったり吸収したりも大事だけど、浪費しないようにすることもまたとても大事です。
ストレスのもとをなくすことや、発散するようにしましょう。

最後にミネラル不足にならないための調理のコツを書いて終わりにします。

どうすればミネラルをしっかり摂れるのかというと、まずは茹で汁を捨てないこと。
調理法だと「蒸す」のがいいですね。

煮るのであれば、スープやカレー、シチューのような煮汁ごと食べられる料理がミネラルをムダにしないのでいいと思います。

あとは「だし」が大事です。 これはアミノ酸とか〇〇エキスといった人工的なうま味調味料が使用されていないできるだけ無添加のものを選んでください。
無添加の天然だしパックがオススメですが、かつお味よりいりこ味の方がミネラルが豊富です。

ミネラルが豊富な食材としては、煮干、海藻、魚介類、野菜、雑穀、そば、ナッツ、ゴマ、納豆、豆腐、きのこなどがあります。
こういったものを普段の食事になるべく取り入れるようにしてみてください。

そうそう、酸っぱい成分は基本的にミネラルの吸収率を高めてくれるので、食事の始めの方で摂るといいですね。

今回は以上になります。

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