肝臓、大切にしてますか?

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。

今年一年、大変お世話になりました。
1/7の1回目から始まり今回が47回目のブログで、これが年内最後になります。

年末年始で飲む機会が増えると思いますので(もう遅いかもしれませんが)、今回は肝臓ネタ

肝臓はとても大事!

みなさんよく知っているとは思いますが、肝臓はとても大変な仕事を黙々とやり続けるすごい臓器で、沈黙の臓器なんて呼ばれることもあります。

肝臓がしていることは大きく3つ。

  1. 代謝(+栄養素の貯蔵)
  2. 解毒
  3. 胆汁の生成・分泌

などでした。

なかでも大切なのは栄養素を代謝・貯蔵する働きです。

食事でとる栄養素は、そのままでは体内で利用できないため、肝臓で使いやすい形に作り変えられます。

また肝臓は、分子栄養学的にもとても大事なデトックスの中心的存在でもあります。
現代人の生活では避けられないカラダに入ってくるさまざまな毒を、無毒化したり外に出したりする働きのメインは肝臓です。

ですからあまり負担をかけてはいけません。

肝臓に負担をかけると・・・

では肝臓に負担をかけるとどうなるかというと、脂肪肝になる可能性が高くなります。

脂肪肝というのは肝臓のまわりに中性脂肪がたくさん付いている状態のこと。
いってみれば肝臓の慢性炎症(肝炎)です。

実はこのタイプには2つあって、ASH(アルコール性)とNASH(非アルコール性)です。

ASHはお酒が原因ですね。
NASHの原因はタンパク不足や糖質過多

脂肪肝は慢性炎症で、炎症は代謝を止めますし、解毒能力も落ちます。
これって結構大変なことなんですよ。

それと、脂肪肝から肝硬変になり、肝細胞がんへと進む可能性も高まります。
こわいですね!

奈良宣言2023

ところで、今年の日本肝臓学会で「奈良宣言2023」というものが出されました。

肝臓は肝炎が進行していても自覚症状がないことは珍しくありません。
そこで血液データのALTの値が30を超えていたら、慢性肝臓病(CLD:Chronic liver disease)が隠れているかもしれないので、早期発見・早期治療のために医療機関を受診しましょう、というんです。

最近、特に生活習慣病を基盤とするいわゆる脂肪肝(NASH)などから肝硬変や肝臓がんに移行することが増えているので、注意喚起を促しているようです。

一度、ご自分の血液データを見てみてください。

気づいた方もいると思いますけど、以前は肝炎というとウイルス性やアルコール性がメインだったんですけど、最近は生活習慣に起因するNASHが急増しているんです。

実際、患者さんの血液データを見ていても、(医師の診断がついていない)隠れ脂肪肝と思われる方がかなりいます。

特に閉経後の女性は、ホルモン分泌の関係で脂肪肝になりやすくなるというデータがありますし、遺伝的な素因として日本人は内臓脂肪が溜まりやすいこともわかっています。

東洋医学的にみて肝臓がしていること

次に、東洋医学的にも肝臓をチェックしていきましょう。

東洋医学では、肝臓は気の流れと関係が深い臓ですね。

気とはエネルギーの素みたいなものですから、不足してもいけないですけど、流れが悪いのも良くありません。

ストレスを受けると、気の流れが悪くなります。
気が流れにくくなると、血の流れも悪くなります。 すると瘀血(悪い血)ができて、いろいろと健康に悪影響が出だりします。

それからメンタル

肝臓がダメージを受けて、気の流れが悪くなると、メンタルが不安定になりやすくなります。
イライラしたり、急に怒りが込み上げてきたり、あるいは極度に落ち込んだりします。

では気の流れが悪いひとは生活の中でどうすればいいかというと、大事なのは動くこと。
動くと気は流れます

なにもハードな運動をする必要はありませんが、少し汗ばむくらいの早歩きくらいはしてみましょう! 気温が下がってきたので、できればあまり寒すぎない時間帯にするといいですね。

気を流すためには、自分の好きな香りを嗅ぐのもイイことですね。
食べ物なら薬味類や香草を豊富に取り入れてみましょう。

それともうひとつ。
東洋医学では臓腑とカラダのいろいろな器官・部位とが関連しているって考えます。

そういう意味では、肝臓とはとても関係が深いんです。
ということは、気の流れが悪くなると目の症状が出やすくなります

ただでさえ家にこもりがちになって目を酷使する今日この頃、気の流れを停滞させないように気をつけてください。

筋肉の状態と肝臓も関係が深いんです。
肝臓の状態が悪くなると、筋肉が痙攣したりしやすくなりますし、筋力にも影響すると考えられます。

肝臓を良い状態にするためにすべきこと

それでは肝臓の状態を良くするために何をすれば良いか、についてみていきましょう。

その前に、しない方が良いことから(笑)

脂肪肝を誘発するのはアルコールと精製糖質だというのは上で書きました。
だからお酒と甘いものを控えましょう

次に摂るべきものとしては、タンパク質
またまた出ましたタンパク質。

繰り返し書いていますけど、これが足りないとしっかりとしたカラダをつくれないだけじゃなくて、大事な肝臓にまで悪影響が出るんです。

それから肝臓に良いといわれる栄養素は、タウリンやオルニチンです。

タウリンはドリンク剤に入っているのを聞いたことがあるかもしれません。
多く含まれている食材は、イカとタコ
これタンパク源でもありますね。

オルニチンはお酒を飲んだ翌朝に飲みたいシジミ汁のシジミに多く含まれています。

肝臓のためには、イカとタコの刺身にシジミ汁。
お酒は付けないでね(笑)

もうひとつ肝臓のためにすべきことは、筋肉をつけること
つまり筋トレですね。
マシーンを使う必要はなくて、自重トレで十分です。

食事で摂った糖は、グリコーゲンという形でストックされます。
これが貯められるのは、肝臓と筋肉だけなんです。

だから筋肉量が増えると、グリコーゲンのストック量が増えて、中性脂肪になる分が圧縮できて、脂肪肝になりにくくなるというわけ。

上にも書いたとおり、東洋医学が数千年も前から肝臓と筋肉の関係を見抜いていたって、すごくないですか?

お酒を飲むときに摂るべき栄養

でも、どうしてもこの時期にお酒を飲む機会が増えちゃいますよね。
そんなときには事前に摂っておくべき栄養素があります。

お酒は基本的に身体にとっては毒です。
ですから解毒をしなければならないわけ。

この解毒という作業(もちろん肝臓がメインで行っています)によって栄養素がいろいろと消費されるんです。
その結果、特定の栄養素が欠乏してしまいます。

さらにいうと、栄養素の欠乏する順番があるんです。
一般的には分子量の小さい水溶性ビタミンが最初に欠乏します。

水溶性ビタミンというのは、基本的に体内に蓄えておくことができません。
ですから風邪を引いたときなどには、ビタミンCをこまめに摂る必要があるんでした。

そして分子量が小さいビタミンほど、必要量が多い傾向にもあるんです。
水溶性ビタミンといえば、ビタミンB群やビタミンCですね。

これらの栄養素はアルコールを解毒するための代謝で消費されるので、飲む前や飲んだ直後にしっかりと補給しましょう。

それ以外の栄養素でアルコールの影響を受けて必要量が増えるものには、亜鉛やマグネシウムなどがあります。

ということで、特にお酒を飲む前に摂っておくとよい栄養素は下記のとおりです。

  • ビタミンB1
  • ナイアシン(ビタミンB3)
  • 亜鉛
  • マグネシウム

飲む量が多くなりそうなときには、食事でというよりサプリで摂っておきたいところですね。

ということで今回はここまで。
皆さま、良い歳をお送りください。

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