こんにちは、島田です。
『生理痛は病気です』という邱紅梅先生の本が出て、東洋医学界隈ではちょっと話題になっているようです。
これって栄養学的にもまさに言えることなんですね。
ということで、今回は生理痛について分子栄養学的に考えてみます。
痛みというのは、カラダからのサインです。
これは、洋の東西を問わない大前提。
何か理由があってカラダは痛みを発するので、それを無視してはいけませんし、ましてや鎮痛剤で症状だけ抑え込んでもいけません。
生理についても、毎回痛みがあるということ自体が異常なことなんです。
生理ってどうして起こるの?
ではなぜ生理痛が起こるのか? を見ていく前に、簡単に女性の生理について。
女性は約1ヵ月に1回、卵巣から卵子を排出します(これが排卵)。
そのタイミングで子宮内膜を厚くして、受精卵を受け入れる態勢を整えるんですね。
ところが受精しなかった場合には準備した子宮内膜がいらなくなるので、これがはがれて体外に排出され、そのときに出血を伴います。
これが生理ですね。
その際に感じる下腹部や腰などの痛みを「生理痛」と呼んでいます。
生理痛が起こる原因は?
生理痛の一般的な原因には、主に下の4つあります。
ひとつずつ簡単に説明をしていきます。
プロスタグランジンの過剰な生成
このプロスタグランジンは生理中に子宮内膜でつくられ、子宮を収縮させることではがれ落ちた子宮内膜を血液と一緒に体外へ押し出すはたらきをします。
この物質が過剰につくられると、子宮が過度に収縮して、腰や下腹部の痛みにつながります。
しかも、このプロスタグランジンには痛みを強めるはたらきがあるので、頭痛や腰痛の原因にもなるんです。
ちなみにアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、このプロスタグランジンの合成の過程で働くシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の活性を阻害することで、プロスタグランジンの産生を抑制し、痛みを抑えているんです。
冷えによる血行不良
カラダが冷えると血液の循環が悪くなり、痛みの元となるプロスタグランジンが骨盤内で滞ってしまうので、痛みがより強くなります。
そもそも生理がはじまると体温は生理前よりも下がるし、プロスタグランジンの働きで血管が収縮するので、血行が悪くなりやすく、カラダは冷えやすい状態になります。
ストレス
一般的にストレスがあると、ホルモンや自律神経のバランスを崩しやすくなります。
すると血行が悪くなり、結果的に痛みを強くする可能性が高まります。
さらに、体温調節機能なども低下するので、冷えが起こりやすくなるんですね。
子宮の出口が狭い
一般的に性ホルモンであるエストロゲンの分泌量は加齢とともに減少するため、年とともに出血量が少なくなって、子宮の収縮も低下し、生理痛は軽くなる傾向にあります。
ただ、10代などでは子宮の出口が未発達で柔軟性が低いために、強い収縮によって経血を押し出そうとして生理痛が強くなることがあります。
出産後に生理痛が軽くなることがあるのは、子宮頸口が開いて柔らかくなるためです。
生理痛対策として栄養でできること
それでは栄養でできることを紹介しましょう。
ビタミンEを摂る
生理痛に効果がある栄養素といえば、まずビタミンEです。
ビタミンEをサプリで摂るなら、天然型(d-α-トコフェロール)にしましょう。
合成型(人工の)ビタミンEは「dl-α-トコフェロール」と表記されていて、天然型より効果が落ちるので注意が必要です。
天然型ビタミンEの100 IUは、合成型ビタミンEの150 IUに相当します。
ビタミンEは脂溶性ビタミンですから、食事と一緒か後(食事で胆汁酸が出ている状態)に摂ると吸収が良くなります。
それと脂溶性ビタミンのなかでは過剰症が気にならないビタミンなので、わりと安心して摂れますよ。
食品では、アーモンドなどの種実類、油脂類、穀類、魚介類、豆類、野菜類などに多く含まれています。
オメガ3系の油を摂って、サラダ油を控える
上で書いたプロスタグランジンは、アラキドン酸に由来する脂質代謝産物で、炎症性メディエーター(免疫、炎症、痛みなどに対する幅広い生理機能をもつする微量物質)です。
アラキドン酸はオメガ6系のリノール酸が代謝されてつくられるものなので、できるだけリノール酸が多く含まれるサラダ油を控え、逆にオメガ3系のEPAが多く含まれる青魚やアマニ油などを積極的に摂るようにすることで、過剰につくられるのを防ぐことができます。
普段の食生活でファストフードなどの外食やスナック菓子を食べることが多いと、サラダ油やトランス脂肪酸を多く摂ることになってしまうので気をつけましょう。
マグネシウムを摂る
マグネシウムは、カラダに不可欠な必須ミネラルのひとつです。
特にカルシウムと拮抗してはたらくので、バランスが大事なんです。
カルシウムは筋肉や血管を収縮させる作用があり、マグネシウムは逆に緩める作用があります。
理想的なバランスは、2(カルシウム):1(マグネシウム)とされているんですけど、ほとんどの現代人はこのバランスが崩れています。
特に乳製品はカルシウム10に対してマグネシウム1などの比率になっているので、積極的に摂ってしまうとバランスが崩れやすいんですね。
カルシウムが多くなると、子宮が収縮しやすくなり、生理痛を起こしやすくなるというわけです。
また、加工食品に多く含まれる添加物のなかには、マグネシウムなどの必須ミネラルの吸収を阻害するものが多いので、なるべく乳製品や加工食品を控えて、マグネシウムの多く含まれている海藻類やナッツ類、豆類を積極的に摂るようにしましょう。
手軽にマグネシウムを摂るなら、ニガリがオススメです。
スーパーなどに売っているものを1日20滴くらいまでを目安に飲み物などに入れて飲んでください。
エプソムソルトという名前の入浴剤が売っているので、これを入れたお風呂に入ることで、マグネシウムを皮膚からも吸収できますし、しかもカラダが温まります。
冷えると血行が悪くなり生理痛も悪化しやすいので、特に腰から下を温めることはとても大事ですね。
今回はこの辺りで。