認知症にならないために今からできること

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。
こんにちは、島田です。

ここ北鎌倉では夜になると虫の音が聞こえてきて、ほんの少しずつですが秋の気配が感じられるようになりました。

今回は、年配の患者さんたちの多くがこれだけはなりたくないとおっしゃる「認知症」と、栄養の関係について書いてみます。

分子栄養学は精神疾患の治療から始まった

日本が世界に先駆けて超高齢社会になり、結果的に認知症という病気がかなり増加傾向にあるということは皆さんもよくご存知でしょう。

そして、アルツハイマー病に代表される認知症の治療方法がいまだに確立されていないことも、共通認識ではないでしょうか。

この認知症に対するアプローチとして分子栄養学が使えるというのが、今日のお話です。

じつは、分子栄養学はもともと精神疾患の治療から始まっています。

その端緒を開いたA・ホッファーは、栄養療法で統合失調患者を6000人社会復帰させたといわれています。
しかも、治療に使ったのは基本的にビタミンCとナイアシン(ビタミンB3)です。

最近では、そこからさらに自閉症やアルツハイマー病の治療にも応用されて、結果を出してきています。

薬と違って食事や栄養による治療なので、飲んだらすぐに効くというわけではありません。
でも、少なくとも薬のような副作用はありませんから安心ですね。

認知症治療薬「レカネマブ」が承認された

つい先日(2023年8月21日)、厚生労働省の専門部会は日本のエーザイと米国のバイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の承認を了承しました。

じつは今回、認知症について書こうと思ったキッカケがこの報道なんです。

この薬は、アルツハイマー病の進行を緩やかにする効果を証明した薬としては国内初のもので、これまで対症療法に限られていた認知症治療の大きな一歩となる、といわれています。

日本に先立って7月上旬に承認された米国での薬価は、年2万6500ドル(約390万円)という高価な薬なので、これから決められる国内の薬価算定にも注目が集まっているようです。

でも、レカネマブは病気の根治につながる薬じゃないんです。
しかも投与の対象になっているのは、日常生活に支障がない「早期段階」の比較的症状の軽い患者に限られます

つまり進行を遅らせられるかもねっていう薬です。
その割にかなり高いですけど(笑)

アルツハイマー病患者の脳内には、アミロイドβという物質が増えることが知られていますが、これを減らすことができる薬がこのレカネマブらしいです。

アミロイドβが認知症の原因だとしたら、それを除去できれば治るはずだとシロウトでも考えられますけど、進行を遅らせることができるだけだなんて、何だかよく分かりませんね。

日本の認知症の現状

ところで現在、日本の65歳以上の高齢者の数は3627万人(2022年9月15日現在推計)にのぼります。

平成29年度の高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人で、高齢者人口の約15%を占めています。
さらには、2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計があります

予備軍である軽度認知障害MCI:Mild Cognitive Impairment)の約400万人を併せると、65歳以上のじつに4人に1人以上(27.9%)が認知症であるともいえます。

世界に目を向けてみると、WHO(世界保健機関)によると2015年に認知症有病者数は5,000万人、そして毎年1,000万人近くが新たに認知症になるとのこと。

アルツハイマー病は、この認知症の約7割以上ともいわれています。

ですから、認知症に対する予防法や治療方法の確立は、今後の日本にとってもかなり重要な問題だということがわかりますよね。

『アルツハイマー病の真実と終焉』の内容

認知症に対する栄養学の考え方もいろいろと広まってきています。
その代表的な書籍がデール・プレデセン氏の『アルツハイマー病の真実と終焉』です。

白澤卓二先生が監修して翻訳本が出版されています。
正直、ちょっと難しい本ですので、簡単に内容を紹介してみます。

アルツハイマー病は、アミロイドβという物質が脳内に増えることで、神経ネットワークが失われ、認知機能の低下を主とした様々な症状が起こるとされています。

製薬会社は、このアミロイドβを分解する薬の開発に追われ、数々の失敗を経てやっとできたのが上に書いたレカネマブなんですね。

いまも日本で認知症の治療に使われているアリセプトという薬は、フランスでは「医療上の利益が不十分」という理由で、2018年8月に保険適応を外されてるんですよ。

そうなんです。
認知症に効く薬はまだないんです。

この本のなかでプレデセン先生は、「アミロイドβは原因ではなく逆に結果だ」としています。

つまり、アミロイドβができることでアルツハイマー病になるのではなく、脳を様々なものから守るためにアミロイドβがつくられるのだというのです。

アミロイドβがつくられる原因は大きく分けると3つあるとプレデセン先生はいってます。
その3つとは、炎症、毒、栄養不足

これを解消すれば、予防も治療もできるといいます。
よくよく読んでみると、治療および予防方法は分子栄養学の基本とまったく同じです。

認知症に対する鍼灸治療

鍼灸界における認知症への取り組みという意味では、私の元同僚で恩師でもある兵頭明先生が、いち早く認知症に関する鍼灸の効果の検証、治療方法の模索やその普及、鍼灸師に対する認知症治療の専門家の育成などを手掛けていらっしゃいます。
もちろん、鍼灸の認知症に対する効果に関する論文も多数あります。

鍼灸の面白いところは、認知症であろうとそうでなかろうと、鍼灸の診たてにもとづいて身体のバランスを整える治療をするということです。

そういう意味で、分子栄養学をキチンと使っている人たちと同じ考え方が根底に流れていることを感じます。

それは根本原因に対処するということです。
東洋医学では「本治」といいます。

結果的にできたアミロイドを何とかして取り除くのではなく、どうして脳内にアミロイドが蓄積されるのかを生活習慣や食事の内容などから見つけ出し、そうならないために何をどう変えるべきかを考えて対処することがとても大事ですね。

皆んながなりたくない認知症は、予防がとても大切です。
この認知症については、まだまだ書きたいことがたくさんあるので、今日はこの辺りで。

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