必要な栄養は人それぞれ

東洋医学×分子栄養学

こんにちは、島田です。
今回は、食事とか栄養の大前提のお話です。

患者さんをみていると、栄養に興味をもって、自分で本を読んで勉強して、サプリをいろいろと摂っている方を時々見かけます。
いわゆる「意識高い系」の方です。

食事や栄養に興味をもつのはとても良いことだと思います。
でも、大事なのは「しっかりと自分の栄養状態を把握すること」なんです。

それをしないで「これがカラダにいいって本に書かれていたから」とか、「○○さんがこれで元気になったって聞いたから」といって食材やサプリを増やしていくのは、ちょっといただけません。

そうやって食べなきゃならないものやサプリメントが増えていくのが、シロウトさん(失礼!)のよくある傾向なんです。

食事と栄養の大前提

まず、すべての人にとって最適な栄養なんてありません!
人それぞれ不足している栄養はかなり違うんです。

だから、これを食べれば健康になれるというスーパーフードは基本的にありえない。
古い話ですけど、みのもんたの番組で「納豆がカラダに良い」と言っていたからといって、すぐに納豆を買いに走るのはやめましょう(笑)

例えば米国の国立衛生研究所(NIH)では、2020年から10年間の栄養戦略研究計画として「Precision Nutrition(精密栄養学:食の効果の個人差を考慮し、各人に最適な栄養指導を行うこと)」を掲げて、個別化・層別化した栄養指導による健康の維持への機運が高まっています。

寒がりの人も、暑がりの人も、元気のない人も、元気が満ち溢れている人も、妊婦さんも、お年寄りも、がんの闘病中の人も、どんな人にも効く栄養素なんて普通に考えればおかしいのはわかりますよね。

そこのところ、冷静になって考えてみてください。

もちろん、最低限摂らないと病気になる必要最低量はあります。
でもこれだってむやみやたらに摂れば、逆に過剰症のリスクがあります。

ではどうすれば良いのか?
答えは簡単です。

自分の栄養状態をしっかりと把握すればいいんです。

問題解決の方法は、 まず問題点の把握。
次に、解決方法の選択。
そして最後に、実践です。

もちろんやりっぱなしではなく、結果のフィードバックも必要ですね。
こういうことがキチンとできないのであれば、専門家に任せるべきです。

上に書いた意識高い系の人は、意外におかしな症状に悩まされていたり、サプリの摂りすぎで肝臓に問題が出たりしがちですから…。

98%の日本人が「ビタミンD不足」

先日、こんな記事が出ました。

98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当
国内初の基準値を公表、植物由来のビタミンDはほぼ検出されず―東京慈恵会医科大学

だからといって、ビタミンDのサプリを買ってきてジャンジャン摂れば、過剰症になります
ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、ビタミンCとかBの水溶性ビタミンに比べると格段に過剰症が出やすいんです。

過剰症対策としては、その人に応じた1日の摂取量をしっかりと決めることも大事です。
ビタミンKを一緒に摂ることで、過剰症を起こしにくくすることもわかっています。
だから、ビタミンDのサプリには「D&K」というふうに一緒になっているものが多いんです。

でも、人によっては摂っても摂っても血中ビタミンD濃度が上がってこないということもあります。
脂溶性のビタミンは、脂質の吸収がうまくいきにくい人は吸収率が落ちますから、血中濃度が上がらないんです。

つまり、「ちょっと脂っこい食事は苦手だなぁ」という人は、脂溶性ビタミン(他にもビタミンA、E、Kがあります)の吸収が悪い可能性があるということです。

そういう場合には、油の吸収に関係がある胆汁や消化酵素を摂ってもらうというのも、ひとつの方法です。

足りない栄養素も人それぞれなら、足りなくなる理由も人それぞれだということです。

つまり、その人には何が足りないのかをキチンと診ることが大切なんですね。
その人やその時に合った栄養や量があるので、にわか勉強でサプリをドカドカ摂るのには反対です。

栄養が足りないと妊娠できる可能性が低くなる

最近このブログでよく取り上げている妊活についても、「栄養が足りないと妊娠できる可能性が低くなる」という論文はたくさんあります。

例えば、妊活で最近とても注目されている栄養素に、上で取り上げたビタミンDがあります。
血中濃度(25(OH)ビタミンD)が最低でも40ng/dl以上ないと、妊娠しづらいとという報告もあります。

98%の人が不足のいまの日本で、妊活している人が多いのもうなずけますね。

ご存知の方も多いと思いますが、ビタミンDは太陽光に当たると、皮下のコレステロールを原料につくられます

ですから、日光に当たる機会の少ない北欧の人たちは、子供でもサプリでビタミンDを摂っているそうです。
摂る理由にはいくつかありますけど、うつ病対策や免疫力アップのためですね。

参考までに皮膚の色と太陽光によるビタミンDの生成の関係は、皮膚の色が黒いほど生成が落ちるということもわかっています。
少なくとも黄色人種の日本人は欧米人より生成能力が落ちるということになります。

ビタミンDの場合、もちろん血液を取って測ってみて、足りなければ摂ればいいわけです。
ですが、人にもよりますが、血中濃度が上がってくるのに1〜2ヶ月かかったりします

ですから、足りないようなら妊活前の段階で余裕をもって摂って、血中濃度を上げておくようにしたいですね。
妊活には、それなりの準備が必要だということです。

いつの間にか妊活の話になってしましました(笑)
今回はこの辺りで。

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