「隠れ油」という大問題

東洋医学×分子栄養学

いつも読んでいただいてありがとうございます。こんにちは、島田です。

明日は二十四節気の清明。
すべてのものが清らかで生き生きしている様子を表した「清浄明潔」という言葉を略した季語ですね。
良い季節になってきました。

今回は本の紹介をしながら、油の重要性について書いてみます。
紹介するのは『「隠れ油」という大問題』(林裕之、2017)。

「隠れ油」という大問題

帯の言葉がちょっとショックです。
あなたが年間13ℓ飲んでいる植物油の怖い話」。

著者はもともとは歯科技工士で、娘さんのアトピー再発をきっかけに油の害を知って、油の研究にのめり込んだとのこと。
日本脂質栄養学会の会員でもあります。

摂る油の種類を徹底的に変えただけで、約1ヶ月で娘さんのアトピーが劇的に良くなったそうです。
それ以外にも下記のような思わぬ副作用があったんですって。

  • 慢性のだるさが取れ、体が軽くなった
  • 熟睡できることが多くなった
  • 便秘が治った
  • 慢性鼻炎が治った
  • ひどい冷え性が解消した
  • 体重が減少した

これって分子栄養学的に考えても、摂る油の種類によってカラダへの影響がとても変化する良い例です。
油ってすごいですよね。

昔の常識、いまの非常識

僕は鍼灸治療と併せて栄養アドバイスをするんですけど、サプリを飲むよりまず日々の食事の内容のアドバイスを基本にしています。

砂糖の入った甘いものを控えるとか、 タンパク質(特に魚)をしっかり噛んで適量食べてとか、 は基本中の基本です。

でもすごく大事なことのひとつに油の摂り方があります。

お年寄りのなかには、いまでもサラダ油やマーガリンがカラダにいいと思っている方がたくさんいます。サラダ油がカラダに良いといわれてたのは間違いだったことが、すでに分かっています。マーガリンにトランス脂肪酸が多く含まれていて、かえってカラダに悪いことも欧米諸国では常識です。

まずは、その間違った常識を壊すことから始めましょう(笑)

調理方法についても、注意点があります。
本書にも書かれていますが、サラダ油の高温加熱は避けましょう。

何も一生「トンカツ」を食べてはいけないといっているわけではありません。
たまには良いと思います。私もときどき食べてます(笑)

基本的に油は加熱すると酸化して、カラダに有害な物質を生み出します。
その代表がホルムアルデヒドですね。

解毒システムがきちんとしていればそれほど恐れなくてもいいのですけど、やはりあまりたくさんカラダに入れたいものではありません。

調理方法はカラダに良い順に並べると、

蒸す>煮る>焼く>炒める>揚げる

の順になります。
患者さんへのアドバイスに使ってみてください。

また油には、控えた方がいい油と、積極的に摂った方がいい油があります。
その油について紹介する前に、ここで簡単に油について学びましょう!

油のはたらき

まず油のはたらき
3つあります。

❶ からだを動かす
これは脂肪酸がエネルギー源になるという意味ですね。
脂質は3大栄養素(エネルギーになるからこの3つ)のなかで最もエネルギー効率が良いん栄養素です。
これが適切にはたらけば、冷え性から解放されるというのは納得です。

❷ からだをつくる
細胞膜や脳の神経細胞は大部分が脂質(リン脂質)でできています。
いろいろな物質が通過する細胞膜は、その柔軟性と流動性がキモ。
どんな油を摂るかで膜の質が変わるるので、特に大事ですね。

例えば、脳神経は4歳までに80%がつくられるので、乳児には良い油が必須。
どの時期に、どんなものを食べるかは、栄養療法をやっているととても大切だということを実感させられます。
手遅れにならないようにお子さんにキチンとした栄養を摂らせてあげるのは、親の役割ですね。

❸ からだを整えるここからは新しい考え方です。
油は脂質メディエーターというシグナル伝達物質をつくります。
これは例えば、カラダの炎症を促進したり修復したりして、整える働きをしています。

摂る油によって炎症体質になったり、炎症が抑制されたりと、まったく違う作用があるんです。
だからこそ、油の摂り方が大事なんですね。

油の種類

油(脂肪酸)の種類は代表的なものが3種類。

  1. 鎖長
  2. 二重結合の有無
  3. 二重結合の位置

ひとつずつ簡単に説明しておきますね。

❶ 鎖長

これは繋がっている炭素(C)の数のこと。
長鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸の3つに分けます。
MCTって中鎖脂肪酸っていう意味です。

❷ 二重結合の有無

二重結合ってのは、炭素(C)どうしが二重に繋がっている場所があるかどうか、のこと。
これが多いほど、細胞膜の柔軟性と流動生が上がるので、良い細胞膜になります。

二重結合があるのが不飽和脂肪酸で、ないのが飽和脂肪酸。
前者は基本的に常温で液体、後者は個体ですね。
もっというと、二重結合がひとつなのが一価不飽和脂肪酸で、ふたつ以上あるのが多価不飽和脂肪酸。

ちょっと難しいですかね?

❸ 二重結合の位置

これは二重結合になっている場所が炭素の最後から何番目にあるかってこと。
何をいっているのか分からないと思うんですけど、これがオメガいくつとかの数字になってます。

これには、オメガ3、オメガ6、オメガ9の3通りあります。
オメガ3にはアマニ油、エゴマ油、EPA、DHAなどがあります。
オメガ6はいわゆるサラダ油。
オメガ9の代表はオリーブ油。

油の取り方の注意点

最後に、本書に書かれている油の摂り方の注意点を書いておきましょう。

  1. 高温過熱したサラダ油(正確にはリノール酸)は極力避けること(1日8gまで)
  2. オメガ3(α-リノレン酸、EPA、DHA)を毎日摂る(1日2g) アマニ油やエゴマ油なら小さじ1杯

これってわずかに2つだけですけど、そう簡単には実践できないですね。
その理由は、この本のタイトルにもあるように「隠れ油」が巷にあふれているからです。

揚げたり炒めたりする目にみえる油以外の、加工食品などに含まれている油がとにかくとても多いんです。

興味があったら、この『「隠れ油」という大問題』も読んでみてください。
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今日はこの辺で。

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